「精神分析学」における重要な概念である阿闍世コンプレックス(Ajase complex)について解説します。
日本の精神分析家の第一人者である古澤平作によって提唱されたもの。
超自我や道徳性を発達させる契機として作用する、母子間の葛藤を主体とするコンプレックス概念である。
仏教の物語に出てくる、阿闍世王にちなんだ概念である。
阿闍世コンプレックスは以下の心的過程を経て超自我を形成する。
① 母を恨んだ子供が母に許されないような悪い行為をする。
② 子供の予想を超えた寛容や愛情によって母はその子供を許す。
③ 子供の内面に自罰感情が生じて、情緒的葛藤を作り出す。
④ 自己懲罰感情が社会規範を内面化した超自我の起源となる。
フロイト,Sのエディプス・コンプレックスは、父性原理に基ずくヨーロッパ社会の価値観に影響を受けているのに対して、阿闍世コンプレックスは、母性原理に基づく日本的・東洋的社会の価値観に影響を受けている。
心的過程の経過など、より詳細な比較をしたい方は下記のリンクからご覧ください。
東洋的な発想の概念です。古くからの精神分析理論で、フロイトの弟子であった古澤平作がフロイトに紹介した概念でもあります。
エディプス・コンプレックスと合わせて説明できるようにしておくことが望ましいと思います。
エディプス・コンプレックスとの違いを比較してみてください。