「臨床心理学」の心理アセスメントにおいて主要な検査であるベック抑うつ質問票(Beck Depression Inventory)について解説します。
(当サイトでは、以降BDIと呼ぶ。)
アメリカの精神科医であるベックにより作成された。抑うつの重症度を判定するための質問紙法の心理検査である。
うつ病の重症度を評価することにより、客観的な診断を下せるとした。
DSM-Ⅳの診断基準に基づいて構成されている。
過去2週間の状態に関する21個の質問項目について、4つの文章の中から自分の状態に当てはまるものを選択することによって、抑うつの重症度を判定する。
※質問項目が21項目と比較的簡便であるために、うつ病のスクリーニング検査や治療効果の測定など幅広く用いられている。
【スクリーニング検査とは…】
検討したい対象と統制された対象とを分類するための検査のこと。(ふるい分け)
この場合、うつ病と健常をふるい分けることを意味する。
21個の質問項目を上から順に読んでいき、4つの質問に当てはまるものを答える。具体的には、抑うつ状態が重症なことを表す文章を3点とし、軽くなるにつれ2点、1点、0点をつけることになる。
BDIの合計得点が21点以上になると、病理的な抑うつ感である可能性が高いと判断される。しかし、BDIはあくまで抑うつの重症度を知るためのひとつの検査方法にすぎず、正式な診断は、専門家による面接や問診などを慎重に行いながら総合的に評価をする必要がある。
うつ病の評定尺度としてSDSと並び非常に多く用いられているものです。
BDIの重要点は、抑うつ状態の重症度を測るための検査であるという点です。うつ病そのものを直接診断できるものではなく、あくまで総合的な評価の一助となるような検査のひとつです。
うつ病についての正しい知識を合わせて抑えておくことも重要です。