「臨床心理学」の心理アセスメントにおいて主要な作業検査であるベンダー・ゲシュタルト検査(Bender-Gestalt Test)について解説します。
ベンダーによって開発された作業検査。
視知覚と運動の協応機能(視覚-運動ゲシュタルト機能)の成熟度や以上を診断するための検査。(神経や情緒の障害を評価する。)
器質的脳損傷の評価や投影法検査としても使われ、近年は認知症を詳細に評価する際にも利用されている。
まとまりのある9つのゲシュタルト図版を模写してもらい、その作業プロセスと結果を検討する。
具体的には、描画の正確さや線の乱れなどに注目し、器質的な脳機能の障害やパーソナリティ傾向、知能などを査定する。
※適用年齢は、児童用(5~10歳)、成人用(11歳以上)であり、比較的短時間で実施できる。
(使用される図版は、ベンダー自身が改作したものと、ウェルトハイマーが視知覚研究で用いたものの中から選択したものがある。)
検査の評価項目は、「描写の正確さ」「描写方法」「図形の相互関係」などである。
また、作業検査法としての実でなく、投影法検査として用いられる場合もある。
検査の分析・解釈法の詳細を以下に示す。
・パスカル・サッテル法(成人用記録用紙)
→成人の視知覚と運動の協応機能の障害などの、中枢神経系の機能障害のスクリーニングを行う際に用いされる方法。
・コピッツ法(児童用記録用紙)
→児童の精神発達の査定や精神機能の障害に関するスクリーニングを行う際に用いられる方法。
・ハット法
→精神力動的観点から描写図版の投影法的解釈を行うもの
(パスカル・サッテル法とコピッツ法は作業検査法で用いられる解釈法である。)
器質的な脳の障害の評価や投影法検査としても使われており、近年においては認知症の詳細な検討のために用いられることもある。
検査自体に独自性があり、臨床場面で有用なテストである。利用する際には、他の検査とテストバッテリーを組みながら審査結果を得る必要がある。
作業検査法であると同時に投影法の検査という側面がある検査です。
臨床場面で有効な検査ですので、概要や手順、評価や解釈法などの重要点を理解しておくことが重要だと思います。
また、心理アセスメントの総論とゲシュタルト心理学についての記事のリンクを下に貼っておくので、この機会にぜひあわせて勉強してみてください。