「臨床心理学」における重要な治療法であるブリーフセラピー(brief therapy)について解説します。
目次
不適応状態という問題やその解決行動に関して、その当事者の間で用いている特定のコミュニケーションパターンに焦点を当てて、変容させることを目的とした短期の心理療法である。
治療時間や面接回数、目標などを概ね決めてカウンセリングを行う。
ブリーフセラピーでは社会システムを維持するために用いられているコミュニケーションの全体を扱うのではなく、問題に関するコミュニケーション、あるいは解決行動に関するコミュニケーションという特定のコミュニケーションパターンに戦略的に介入する。
コミュニケーションのどの部分に焦点化するかで問題解決型(MRIモデル)と解決焦点型(BFTCモデル)に分けられる。
・問題焦点型
→問題行動自体が問題を維持すると捉え、問題を問題としてみなすコミュニケーションパターンに焦点化する。
・解決焦点型
→問題と解決行動には基本的に直接的なつながりはないと捉え、効果がある解決行動を具体的にイメージさせるための質問技法を用いて解決行動を自発的に導き出す。
家族療法に端を発するブリーフセラピーのひとつで、解決行動自体が問題を持続し再生産させるなどの悪循環をうむと考え、問題を問題とみなすコミュニケーションパターンに焦点化し介入する方法である。
MRI(Mental Research Institute)アプローチとも呼ばれる。
ダブルバインド理論を提唱したペイトソンの流れをくむコミュニケーション派と呼ばれる家族療法で、症状の処方などの治療的パラドックスを用いて、そのパターンを変化させ家族の問題に関する文脈理解の枠組みを自発的に変容させるリフレーミングをもたらすことを目的とする。
(コミュニケーション派はジャクソンによって創始され、これの延長線上に位置づけられるのがヘンリーの戦略派である。)
家族療法に端を発するブリーフセラピーのひとつで、問題と解決行動には基本的に直接的なつながりはないと捉え、解決行動を具体的にイメージさせるためのさまざまな質問技法を用いて自発的に解決行動を導き出すことを目指す技法である。
BFTC(Brief Family Therapy Center)とも呼ばれている。
具体的な質問技法を以下に示す。
・ミラクルクエッション
→奇跡が起きたらどうなるかを問うことで、解決後の状態をイメージさせる質問のこと。
・スケーリングクエッション
→現在の状況について数値化したら何点かを問うことで、問題の達成度を自覚してもらう質問のこと。
・例外の発見
→問題が生じるはずの場面において、問題が生じなかった状況に注目すること。
・サバイバルクエッション
→これまで取ってきた具体的な行動や態度のパターンを振り返らせる質問のこと。
一般的には、「ミラクルクエッション」→「サバイバルクエッション」→「スケーリングクエッション」→「例外の発見」の順で行うことが多い。
ビリーフセラピーは家族療法の理論を発展させた短期の心理療法です。
大きく、問題解決型と解決焦点型に分かれています。それぞれの介入の仕方や具体的な流れ、もしくは理論的背景を説明できるように理解しておくことをおすすめします。