「臨床心理学」における重要な考え方のひとつである臨床の知(clinical knowing)について解説いたします。
哲学者の中村雄二郎によって提唱されたもの。
対象や事象を当事者の主観的な認知・感情の枠組みから把握し、その事例特有の構造や性質を全体的に把握しようとする知識や視点のあり方を指す。
臨床の知に対比される概念である科学的知が、中立的立場から導かれた論理性と客観性を重視する法則定立的な知識や視点である。
臨床の知は、主観的な意味付けや解釈に基づく問題解決のための知識や視点のことである。
※これは、個別性や特殊性を重視しており、臨床心理学における事例研究やナラティブベースドアプローチの基盤となる視点である。
「臨床の知」という考え方は、多くの人間(平均値)では説明が出来ない現象や問題を考えるうえでとても重要な考え方になります。
「みんなと違うから悩んでいる。」というように考えると、従来の科学モデルでは解決できないというような事態が出てきて当然です。
多くのみんなが持たない特性や状態の理解を促進する素晴らしい考え方です。
理解していくことをおすすめします。