臨床心理学と臨床心理学の歴史、心理職の資格を解説!

臨床心理学(clinical psychology)とは何なのか?

今回は臨床心理学の概要と歴史、心理学の資格の内、特に有名な公認心理師・臨床心理士という観点から解説していきます。

臨床心理学(clinical psychology)とは?

既存の心理学理論を応用して、個人が抱えるストレスや精神疾患や不適応などの心の問題の解決や予防などの実践活動に取り組むこと、また新たな理論や方法論の開発を研究することを目的とした心理学の学問領域のひとつ。

臨床心理学の歴史

臨床心理学は、現在に至るまで大きく4つの時期に分けられる。以下にその詳細を示す。

第Ⅰ期 (1800年代後半~1930年頃)

心理測定:アメリカのキャッテルが統計的手法を用いてメンタルテストを開発した。(心理測定の始まり)

心理診療所の開設:実験心理学の父であるヴントらに教育を受けた、アメリカのウィットマーが臨床への応用を主張し世界初の心理診療所を開いた。(論証心理学の始まり)

無意識の発見フロイト精神分析が臨床心理学の中心となった。

第Ⅱ期 (1930年代~1960年代頃)

世界大戦にあたる時期であり、戦争神経症(現在のPTSD)の治療が中心課題となった。行動療法やクライエント中心療法が台頭し、治療理論や技法が大いに進歩した。

第Ⅲ期 (1960年代~1990年代頃)

医学モデルによる援助のみならず、精神疾患の予防や健康の維持にも注目するようになった。(生活モデル)

この時期、集団療法やコミュニティー心理学といった新たなアプローチも誕生した。

第Ⅳ期 (1990年代以降)

無意識のような実証できない概念に基づく精神分析が後退し、証拠に基づく実践(Evidence Based Practice)が重視されるようになった。

代表的な技法が認知行動療法であり、現在の心理臨床現場の中心的な役割を担っている。

また、アメリカのセリグマンが提唱したポジティブ心理学も台頭してきている。

※現在の主要な臨床心理学派は、精神力動系認知・行動系人間性心理学の3つに大別されている。

臨床心理学の専門資格

心理学系の資格は様々なものがあるが特に著名な、公認心理師と臨床心理士について扱う。

公認心理師

医療や保健、教育、福祉、その他の分野において、心理学に関する専門的知識や技術を業とする、公認心理士法を根拠とした、日本の心理職国家資格、およびその有資格者のこと。

※平成27年に公布され、平成29年に施行された。

公認心理師が行う心理的行為は「心理検査」「カウンセリング」「心理療法」「コンサルテーション」「心理教育」などである。

【具体的な専門的支援】

1. 心理に関する支援を要する者の、心理状態の観察と分析

2. 心理に関する支援を要する者との、心理相談による助言と指導

3. 心理に関する支援を要する者の関係者との、心理相談による助言と指導。

4. メンタルヘルスの知識普及のための、教育と情報提供

以上の4つが掲げられている。

公認心理師は、心理状態が深刻で医学的治療を受けるような心理的支援の対象者に主治医がいると判断された場合に限り、医師からの指示を受ける。

(臨床心理士は心理職としての独立性があり、医師からの指示も指導も受けない。必要に応じて、医師との連携協力を行う。)

臨床心理士

公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会が認定する、民間資格、およびその有資格者のこと。

※免許番号第1号が誕生したのは1988年である。

 

臨床心理士は、臨床心理学を学問的基盤とし、クライエントが抱える精神的問題の援助・改善・予防・研究、あるいは人々の精神的健康の回復・保持増進・教育への寄与を職務内容とする心理専門職である。

活動領域は、主に「教育」「医療」「保健」「司法」「矯正」「産業」「福祉」「学術・研究」分野である。

【臨床心理士の専門業務・臨床心理学の4領域】

臨床心理査定(アセスメント)

→心理検査や観察、面接を通して、クライエントの特徴や問題、病理を把握すること。

臨床心理面接(カウンセリング,心理療法)

→査定によって明らかになったクライエントの全体像を元に、最適な心理療法を検討し援助すること。

臨床心理的地域援助

→学校や産業などの地域社会に働きかけて、地域全体の心理的問題の予防や安全を図ること。

調査・研究活動

→心理検査の開発や、心理療法の効果、その他新たな理論を検討し研究すること。

まとめ

今回は臨床心理学や、臨床心理学を基盤とする専門資格についての解説してきました。

 

心理の国家資格はこれまで存在していませんでしたが、記事の通り平成29年に初めての心理国家資格である公認心理師が誕生しました。

オックスフォード大学で人工知能などの研究を行うオズボーン准教授の「雇用の未来」という有名な論文で、無くならない職業に仲間入りした心理カウンセラー(セラピスト)ですが、今後、更に需要が高まっていくと考えられています。

それに伴い、心理専門資格の人気がさらに高まるだろうと考えられています。当サイトでは、心理学の専門的な用語の解説を行っており、専門資格対応大学院や資格試験対策に役立てていただけたら幸いです。

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viuo

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