「発達心理学」分野で重要な理論である認知発達論 (cognitive developmental theory)について解説していきます。
目次
発達心理学者であるピアジェによって提唱された概念。
子供の世界の捉え方や・認知や思考の仕方に着目して「感覚運動期」「前操作期」「具体的操作期」「形式的操作期」の4段階に分けた理論。
⇒認知発達理論では、各段階特有の対象に関する情報処理の枠組みをシェマといい、この時期のシェマを感覚運動シェマという。
・同化→感覚や運動を通じて外界の性質を自身の世界に取り入れシェマを形成すること。
・調整→外界の性質に合わせて自身のシェマを変化させること。
・循環反応→どうかと調整の反復運動のことで、これを通じて外界を理解する。
循環反応には以下の3つのステップを経るとされる。
・第1次循環反応:自分の身体だけに関連した感覚に興味が向いていてその運動を繰り返す。
・第2次循環反応:自分の活動がもたらした外部の対象の変化に興味が向いてその活動を繰り返す。
・第3次循環反応:自分の活動を変えることによって物事がどのように変化するのかに興味をもつ。
ピアジェはこの時期の終わり(生後18カ月後)には、対象の永続性が獲得されるとした。
※対象の永続性とは、目の前にものが見えていなくても、そのものは存在しているとわかること。
ex)いないないバー
⇒この時期、言語を獲得しイメージを用いて考え行動できるようになるが、論理的な思考はまだできない。
ピアジェは、前操作期の年齢にあたる自身の子供を被験者にして三つ山課題という実験を行った。その結果、自分の方面からの光景しか描くことはできなかった。
つまり、自分と他人を明確に区別できず、他人の視点を理解することが出来ない自己中心性があるとした。
<三つ山課題>
3つの山の模型の前に座らせ、自分とは別の方向からの光景を描いてもらう実験
また、他人を意識しない独り言のような発話である自己中心語がみられる時期であるとした。
更に無生物のものに自分と同じような感覚があるとするアニミズムがあるとした。
ex)お人形さんをたたいたら痛くてかわいそうだよ。
<おまけ>
2~4歳ごろまでを抽象的思考の段階(概念が個人的な経験に依存したり、シンボルと対象とが明確に分離しない)、4~6歳ごろまでを直感的思考の段階(一般的な害ねに近づくが、直感を超えての論理の痛痒が出来ない)と分類している。
⇒この時期、具体的場面や実際的課題における対象における対象について、見かけに左右されない論理的思考が可能になる。
自己中心性から脱し、他者からの視点を理解できたり、様々な知覚情報をより抽象的で一般的な象徴化が出来るようになる。このことを脱中心化という。
また、対象が形状の変化によっても量が変化しない保存の概念や思考の操作を逆にして出発点に戻ることができる可逆性が獲得される。
これらの思考的操作(群性体)が可能となる。
※ただし対象物へ実際的で具体的な操作を伴う形でしか理解できず、抽象概念の理解や仮説演繹的な考え方は出来ない。
⇒この時期になると、実際的で具体的な操作体験をしなくてもトン理的な思考が出来るようになる。
現実と可能性を見比べる思考や、自分の経験や現実世界に左右されずに「仮に~だったら…」と考えることが出来るようになる。つまり仮説演繹的思考など科学的思考が可能になる。
※この時期をもって子供の思考が完成されるとしている。
・感覚運動期
・対象の永続性
・前操作期
・自己中心性
・自己中心語
・三つ山課題
・ア三ニズム
・具体的操作期
・保存の概念
・可逆性
・形式的操作期
・仮説演繹的思考
「感覚運動期」「前操作期」「具体的操作期」「形式的操作期」という名称と各段階の特徴を覚えることがまずは大切です。
また、各段階で出現する専門用語とその意味を理解することをおすすめします。