「精神分析学/分析心理学(深層心理学)」における中心的な理論である集合的無意識(collective unconsciousness)について解説します。
ユングの分析心理学における概念のひとつ。
人類が普遍的に持つ無意識のことを指し、個人が独自に持つ個人的無意識の更に深層にあるもの。
(普遍的無意識ともいう。)
ユングは、世界各地の神話やおとぎ話に共通する内容があるのは、ヒトという種が進化していく過程で重要な影響を与えた記憶で構成された集合的無意識が存在するためであると考えた。
集合的無意識に存在する心的イメージのことを元型(アーキタイプ)と呼ぶ。
以下に代表的な元型をあげる。
<元型>
アニマ:男性の中に存在する女性的性質をもつもの。
アニムス:女性の中に存在する男性的性質をもつもの。
老賢人:父なるもの・理性・権威を表す偉大な存在。
グレートマザー:母なるもの・成長・愛性を表す慈悲の存在。
ペルソナ:仮面。社会に表出している適応的な側面。
シャドウ:影。社会に表出していない否定的な側面。
分析心理学を理解するうえで、個性化と相補性も重要な項目である。
個人的無意識と集合的無意識からのメッセージを意識の中に取り込んで、その人が本来持っている無意識的な真なる自己を表現できるようにするための自己実現の過程のこと。
(個性化=子としての全体性を確立すること。)
個性化の過程は…
人生の前半の青年期までは、無意識の衝動や欲求を現実に合わせていかに意識的にコントロールするかが課題になる。
人生の後半の中年期以降は、過剰反応せずにいかに意識の中に無意識のメッセージを取り込むことが出来るかが課題になる。
すべての人間の心の中の相反するエネルギーや傾向性の相互作用と、それにより達成される全体的なバランスの維持作用や補償作用のこと。
(個性化と自己実現に不可欠の心的エネルギーの二項関係を指す概念。)
例えば…
・意識と無意識が相互に影響を与えることで子としての全体性が確立されるという相互作用。
・元型における対照的なイメージの相互関係や補償関係。<ペルソナ⇔シャドウ><アニマ⇔アニムス>
※分析心理学では、相補性が確立されていれば適応的で健全と考え、確立されていなければ不適応的で病的であると考える。
・元型(アニマ,アニムス,老賢人,グレートマザー,ペルソナ,シャドウ)
・個性化
・人生の前半
・人生の後半
・相補性
・集合的無意識(普遍的無意識)
・個人的無意識
ユングの心理学は分析心理学や深層心理学と呼ばれています。
人によっては取っつきづらいと感じやすい分野だと思いますが、深くまで勉強するととても興味深い概念だと思います。
まずは元型をすべて覚えて、個性化の過程や相補性へと理解を深めていってください。
自身の人生にも生かせる部分が見えてくると思うので、いずれにせよ勉強しておいて損はないと思います。