「臨床心理学」の主要な治療方法であるエンカウンター・グループ(encounter group)、構成的エンカウンター・グループ(structured encounter group)について解説します。
人間性心理学派のロジャースがクライエント中心療法の訓練課程として開発した集団場面を用いた心理療法である。
1960年代からアメリカで開発された。自己成長を目指す集中的グループ体験を指す。
(もともとカウンセラーの養成のためにワークショップの中に取り入れたことがはじめとされている。)
ベーシック・エンカウンターグループは、一般的に4~10人程度の見知らぬ人たちが非日常的な場所で1週間程度合宿を行う。
その出会いの中で、話し手は自己開示をし、聞き手は共感的・受容的な態度で接するという形を交互に行い感情的交流をしていく。
→これにより、自己や他者への理解や需要が促進され、自己成長や自己洞察、対人関係の問題を解決する。
これは、心理的問題の解決や対人関係能力の向上、心理的成長など様々な目的で行われている。
これを行う際、ファシリテーターと呼ばれる治療者側に属するものが1~2名程度参加をし、参加者の心理的安全を保障するとともに、対話が生きずまったりした場合に、その場を活性化させる役割を担う。
上記のベーシックエンカウンター・グループを下敷きにして、日本の心理学者である国分康孝により開発された。
傾聴訓練や自己主張訓練などの対人的相互作用のスキル訓練を、作業課題のプログラムとして、リーダーがあらかじめ設定しておき、メンバーは役割交代をしながら遂行していくという方法をとる。
(リーダーは参加せずに進行を管理する役割を担う。)
SGEでは、ファシリテーターから与えられた課題についてグループで行うエクササイズと、エクササイズの後にグループの中でそれぞれが感じたこと、考えたことをお互いに話し合うシェアリングから構成される。
【エーシックエンカウンター・グループとの相違点】
① エクササイズや課題はあらかじめ決められている点。
② プログラムが定型化されている。(そのためファシリテーターは熟練者でなくてもできる。)
③ エクササイズの扱い方で、交流の深さや方向をコントロールすることが出来る。
④ 比較的短時間で行うことが出来る。
エンカウンターグループの意義を以下に示す。
・「今、ここ」での率直な自己開示や、自己や他者についての気づきや需要を促し、自己成長する。
・グループには、メンバーの潜在的能力を促進させる風土があり、グループ自体が建設的な方向に発展していく可能性が多分にある。
・受容的な雰囲気の中で、日常的な社会的役割からはなれ、「今、ここ」での気持ちを素直に表現したり、多くの出会いから新たな気づきを経験することが出来る。
ベーシックエンカウンターと構成的エンカウンターの方法の違いを理解しておくことがベストだと思います。
また、実施方法や遂行する目的、ファシリテーターのやくわりなどポイントとなる部分をしっかりと理解しておくことをおすすめします。
他の集団心理療法として有名なものに心理劇(サイコドラマ)があります。