「心理学研究法/心理学測定法/統計」の分野における重要単語のひとつである因子分析 (factor analysis)について解説します。
測定変数の背後にある潜在変数を探索し発見することで、測定変数の分類・整理を行う統計手法。
因子が測定変数に影響を与える程度のことを因子負荷量といい、範囲は-1~1で表される。因子負荷量は±1に近いほど影響が強くなるといえる。
この因子負荷量の算出を終えた後に、因子数の決定と、各因子の命名を行う。
※因子数や、各因子の名前は、実存しない架空のデータのため、測定変数の内容や理論的背景と分析者(研究者)の主観や仮説が大きく反映される。
<おまけ:因子分析が心理学において頻繁に使用されるようになった背景>
オールポートが性格特性を研究するために正確に関する膨大な単語を抽出し、キャッテルがその膨大な数の正確語を分類・整理するために用いたのが因子分析であった。
このように当初は人格心理学において、単語の整理を行う際に便利な統計手法が因子分析であった。以後人間の複合的な心理や行動を扱うための統計分析として普及した。
✔ 因子分析は、複数の変数がすべて量的変数という条件で、変数間に独立変数、従属変数の関係(因果関係)が設定されていない場合に用いられる。
⇒つまり、変数間の相関関係に基づいて、背後にある共通因子を見つけ出そうとするものであり、多くの場合新しい質問紙や心理尺度を開発・作成する際に用いられる。
因子負荷量が似たような値ばかりで、きれいに第Ⅰ・Ⅱ因子に分けられない場合に、各因子を解釈しやすい状態(単純構造)にするためにグラフ軸を回転させること。
回転方法は大きく分けて、直交回転と斜交回転の2つに分けられる。
因子間の相関がないように、因子負荷量を再算出し単純構造にする回転のこと。
(回転後の軸は90°である。)
直交回転の代表的な方法にバリマックス回転がある。
因子間の相関を認める形で、因子負荷量を再算出し単純構造にする回転のこと。
(回転後の軸が90°ではない。)
斜交回転の代表的な方法にプロマックス回転がある。
・因子負荷量
・軸の回転
・直交回転
・斜交回転
・バリマックス回転
・プロマックス回転
因子分析は、新たな心理尺度などを作成する際に必ずと言ってよいほど用いられている有名な統計手法です。
厳密なところは若干違うのですが、簡単に言うと「グループ化」「仲間集め」のための統計分析です。
例えば、因子分析により因子負荷量を算出して、数学と理科が第Ⅰ因子、国語と社会が第Ⅱ因子だったとしたら、第Ⅰ因子=理系科目、第二因子=文系科目となるでしょう。この時の因子数は2つであり、各因子名は理系科目と文系科目といった形になります。
心理学では、人間の性質や特徴を把握する際に1つの質問項目ですべてを決めるようなことはしません。いくつもある項目を聞き出し、似ているものを集めて分析をしていきます。
その際に因子分析は欠かせません。
心理学を研究していく際には切っても切り離せないものですので、要チェックの重要単語として認識しておいてください。
心理学用語解説:重回帰分析 (multiple regression analysis)