「認知心理学」の分野において重要な用語であるゲシュタルト心理学(gestalt psychology)について解説します。
ウェルトハイマーによって創始された心理学派。
人間の精神機能や行動を理解するためには、それらを構成する部分や要素に注目するのではなく、その全体を重要視するべきだとする立場。
(ゲシュタルトとは全体性を意味する単語である。)
ウェルトハイマーは離れた2点間に刺激を順番に提示することで、先に提示された位置から後に提示された位置に向けて刺激が移動しているように見える仮現運動(β運動)の研究を通じて要素主義を批判した。
また、視野のなかに多数の刺激が与えられたとき、それらはバラバラに知覚されるのではなく、まとまりをもったひとつのかたまりとして知覚されることを発見した。これは群化と呼ばれゲシュタルト心理学の基礎的な考え方である。
<群化を規定する要因(ゲシュタルト要因)>
・近い距離にあるもの同士がまとまる→接近の要因
・似た形のもの同士がまとまる→類同の要因
・左右対称などの規則的な形にまとまる→良い形態の要因
などがある。
彼らの活躍によりゲシュタルト心理学は知覚研究から様々な分野に発展した。
ウェルトハイマーが示したゲシュタルト心理学における重要用語。
視野に見られる図において、複数のゲシュタルト要因が存在する場合に、全体としてもっとも単純で安定した秩序ある形として知覚される傾向性のこと。
上記のゲシュタルト要因の内、プレグナンつの法則は「良い形態の要因」の作用として知覚される傾向性を指す。
ルビンによって名付けられた近くに関するゲシュタルト心理学の用語。
様々な知覚経験の場面において、
背面から分離されて知覚される部分→図
背景となるもの→地
と呼んだもの。
EX)ルビンの盃(さかずき)
・仮現運動(β運動)
・群化
・ゲシュタルト要因
・接近の要因
・類同の要因
・良い形態の要因
・プレグナンつの法則
・図と地
・ルビンの盃
人間が対象を知覚するときに、要素ではなく全体として捉えるということを主張した立場ということを抑えてください。
ゲシュタルト心理学は、ウェルトハイマー以降研究が発展し、学習心理学や社会心理学の分野にその理論が活かされてきました。
他分野を勉強する際にも、ゲシュタルト心理学の考え方が使われている理論や概念が多くあると思うので注意してみてください。
また、プレグナンつの法則や、図と地など、関連する概念はとても重要なのでチェックしておいてください。