「臨床心理学」の心理アセスメントにおいて主要な投影描画法のパーソナリティ検査である家と樹木と人物描画検査(House-Tree-Person test)について解説します。
(当サイトでは、以降よりHTPテストと呼ぶ。)
バックにより開発された投影描画法のパーソナリティ検査。
「家」「樹木」「人物」の絵をそれぞれ1枚ずつの画用紙に鉛筆で描いてもらう。検査者はその絵の気になった点についてPDI(Post drawing interrogation)と呼ばれる64の質問をして、被験者に自由連想法で答えてもらう。
※パーソナリティのみならず、IQも算出する。
原法では、1枚を2つ折りして4ページの紙を作る。その紙の1ページ目に「日付」、2ページ目に「家」、3ページ目に「木」、4ページ目に「人物」を描いてもらう仕様である。
※子供から高齢者までのあらゆる年齢層を対象とする。
開発者のバックによると「家」「木」「人」には以下のような意味が投影(反映)されやすいとされている。
・家:家庭環境や家族に対するイメージ。
・木:言語化できないような深層心理、自己像、感情など。
・人:意識的な自己像や感情など。また、重要な人物や人間全体に対するイメージ、対人関係など。
HTPの結果の分析には、質的分析と量的分析の両方が存在する。
・質的分析
→描画時の取り組む姿勢や描画内容、所要時間などの情報から、被験者のパーソナリティを分析する。
・量的分析
→評価点数表に沿って客観的に分析する。遠近法や比率などを数値化し、IQを算出する。
(絵を描くうまさを調べるわけではないが、教示の際に出来るだけ上手に描くように促す。)
HTPテストの解釈は、描かれた絵の内容について分析し、その分析内容を自由連想によって報告された情報と関連付けて行う。解釈を行う際に用いられる分析法の詳細を以下に示す。
【描画についての分析法】
・形態分析
→全体的な絵の印象と、バランスおよび身体の各部位に関する分析をする。
・動態分析
→鉛筆の使い方や筆圧などを分析する。
・空間分析
→画用紙の使い方や、上下左右前後という空間の使い方などを分析する。
近年は、男女両性の人を描いてもらうHTPPテストや、1枚の画用紙に「家」「木」「人」の3つをまとめて描いてもらう総合的HTPテストも開発されている。
(HTPPテストでは、同性の絵には「自己の現実像」が、異性の絵には「異性に対する認知の仕方」が表れやすいと報告されている。)
投影描画法のパーソナリティ検査として有名な心理検査ですのでぜひ理解をしておいてください。
概要や特徴、分析方法や解釈法の重点を抑えておくことをおすすめします。
検査の長所や短所、テストバッテリーといった関連用語の確認もついでにしたいという方は下記のリンクからぜひチェックしてみてください。
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