「学習心理学」における重要な用語のひとつである学習性無力感(learned helplessness)について解説いたします。
セリグマン,Mによって提唱された。
自分の力では対処不可能な体験を数多く重ねることで、行動への動機づけが失われる学習のこと。
学習性無気力とも呼ばれることがある。
セリグマンは、苦痛等に対処する可能性が感じられなくなった際に、無反応・無気力状態が学習されるとした。
セリグマンは犬に電流を与え続けるという方法で学習性無力感を発見・報告した。
セリグマンの研究では、犬に源流を与えると、最初はその電流から逃れようと数多くの回避行動を試みるが、いくらあがいてもその状況を打破できないと感じると、その後の電流に対しては無気力になり逃れようとしなくなった。
さらに、苦痛状況に居続けると、回避可能な環境になっても回避しなくなってしまうことや、抑うつのような状態になってしまうことを報告した。
これは、人間にも起こる学習プロセスであり、詳細は確かではないがうつ病に至る背景要因の1つと考えられている。
セリグマンは、うつ状態などの深刻な重大さを要する状態が長く続くと、無気力状態が持続し、更に深刻化すると述べている。
施行を継続しているにもかかわらず、学習の成果が上がらず、むしろ一時的に停滞することを高原現象と呼ぶ。
つまり、頑張って努力しているにもかかわらず、成果が上がらずむしろマイナスになっている状態である。
これが、学習性無力感につながってしまう場合もある。
セリグマンの犬の実験は有名です。
長い間苦痛から逃れられない状態が続くと、逃れる努力すらやめてしまうということを示したものです。
現代社会においても、これと似た状態が散見されます。
人間であっても、耐えられない状態に閉じこもることで、学習性無力感に陥ってしまうことがありますので、まずは理解をしていただけると嬉しいです。
また、ストレスコーピングの記事を以下に貼っておきますのであわせてご覧ください。
ストレスへの対処が無気力状態に陥るブレーキになります。