「発達心理学」における重要な用語のひとつである母性剥奪(maternal deprivation)について解説いたします。
ボウルビィー,J.によって提唱された用語。
発達初期における、母親などの養育者による不適切なマザーリング(母性的養育行動)によって、その後の知的、情緒的発達に様々な障害が生じること。
ルネ・スピッツは乳幼児に養護施設に預けられた子供たちに、特徴的な発達の遅れがある施設症(ホスピタリズム)の問題があることを報告した。
スピッツは、適切な母性の基ではなく、施設などで育った子供が情緒的、あるいは身体的に発達の遅れが見られることを実証的に示してこれをホスピタリズムと呼んだ。
ボウルビィーは、第二次世界大戦後イタリアの孤児院の子供たちに成長・発達の遅れが見られるのは、単に施設の衛生面や栄養面の問題ではなく、母子のスキンシップを中心とした相互作用が欠如していることが原因であると考えた。
ボウルビィーの母性剥奪の内容や、スピッツの実験は、愛着の重要性を示した大きなエビデンスです。
また、発達心理学において非常に重要な考え方のひとつでもありますので、ぜひチェックしてみてください。