「発達心理学」の重要項目である成熟優位説 (maturation advantage theory)の解説をします。
ゲゼルによって提唱された理論。
心身の成熟によって成立する、学習が可能となるための内的な準備期間をレディネスと呼び、レディネスが整っていない学習は効果を持たないと主張したもの。
あらゆる発達は適切な環境からの条件づけによって成立するという行動主義の発達観に反論した。
ゲゼルは一卵性双生児の乳児2人に対し、階段上りの訓練を行った。
一卵性双生児の内1人をT、もう一人をCとする。
片方のTは生後45週目から6週間、もう片方のCは生後53週目から2週間の訓練をさせた。
(AはBよりも早くから始め、長い期間訓練をした。)
短い期間しか訓練していないCのほうが、Tよりも早く階段をのぼれるようになった。
⇒つまり、Tはレディネスが整っていない状態で訓練を始めたため、訓練は意味をなさず、Cはレディネスが整ってから訓練を始めたため、すぐに階段をのぼれるようになったことを示した。
・レディネス
・階段上りの訓練
・一卵性双生児
・成熟優位説 (maturation advantage theory)
成熟優位説において重要となる点は、レディネスが整っているかいないかで、学習効果が変わるということです。
また、実際にゲゼルが行った、階段上りの訓練の実験手続きや結果もポイントになります。
+αの知識として、抑えておいてもいいかな?というものを以下で紹介します。
ゲゼルはレディネスが成立してからの教育を重視しました。しかし近年では、ヴィゴツキーの発達の最接近領域という概念に見られる、思考や認知機能などの教育においては、レディネスを作り出し、促進するための教育が重要であると指摘されています。
※発達の最接近領域(zone of proximal development)とは…
子供の知的発達の水準を自力で問題解決できる現下の発達水準と、他者からの援助や協同によって達成が可能になる水準の2つにわけて考えた時の、この2つのずれの範囲のこと。
⇒この理論では子供に現在持っている知識やスキルより少し高いレベルが要求される課題を提示し、子供が問題を解決できるように援助することが最も有効な教育であるとした。