「心理学研究法/心理学測定法/統計」の分野における重要用語である重回帰分析(multiple regression analysis)の解説をします。

重回帰分析 (multiple regression analysis)とは?

2つ以上の独立変数から1つの従属変数を予測する際に用いられる分析方法のこと。

独立変数が複数になった時の回帰式を重回帰式といい、各独立変数に対応した回帰係数を偏回帰係数と呼ぶ。

データ数が多い時は、最小二乗法という方法を用いて、予測値と実測値の差が最小となるように偏回帰係数を求める。

※予測値と実測値の差のことを残差という。

また、平均値や標準偏差が異なるものを標準化し、比較可能な形で算出された偏回帰係数を標準偏回帰係数という。

重回帰分析の注意点

✔独立変数が原因、従属変数が結果であるという因果関係を想定している。

✔独立変数間の相関が強いと多重共線性(標準回帰係数が異常値を示す)の問題が生じる。

回帰分析(regression analysis)について

重回帰分析と合わせて抑えておきたいのが回帰分析である。

1つの独立変数の値から1つの従属変数の値を予測する際に用いられる分析手法で、単回帰分析ともいう。

独立変数(X)が従属変数(Y)に与える影響力の大きさを表す値を回帰係数という。

↳これらの関係を表す式を、回帰式(Y=aX+b)という。

回帰分析は、回帰式を求めることで、独立変数による従属変数の予測を可能にすることが目的である。

※実測値と予測値の誤差のことを残差といい、データが多くなると残差のない回帰式を作成することは事実上不可能になる。そこで、残差は生じるものとして残差が最も小さくなるように最小二乗法を使ってaとbを算出する。

回帰分析の注意点

✔因果関係が予想される場合、一方が原因、他方が結果となることが予測される場合に使う。

ポイント

重回帰分析と単回帰分析は両者とも、多変量解析(複数の変数に関するデータから関係性を分析することで、構造や特徴を探る統計手法)のひとつです。

これは、人間の心理、行動は単独の要因だけで決定されるほど単純ではなく、様々な要因が影響しあって起こると考えられているため、心理学においても多用される統計分析です。

複数の変数を同時に用いることにより、人間の心理・行動をより複合的な視点から精緻に説明することが可能になりました。

この多変量解析には有名な因子分析がありますが、重回帰分析と単回帰分析はどちらとも因果関係が想定される場合に用いることがポイントです。

因子分析についての解説は別の記事で作りました。必要な方がおられましたらご覧ください。

➤心理学用語解説:因子分析(factor analysis)

キーワード

・重回帰式

・偏回帰係数

・最小二乗法

・残差

・標準偏回帰係数

・回帰係数

・回帰式

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