「精神分析学」における主要な概念のひとつである抵抗(resistance)について解説します。
意識化したくないような無意識的な衝動・欲求・感情・葛藤が意識化されそうになった時、それが意識の中に入り込んでくるのを回避しようとする防衛反応のこと。
精神分析および精神分析的心理療法の概念。
精神分析では無意識にある衝動・葛藤・感情・欲求は意識的な自分の安定性を崩す自我の脅威になると考えられている。これにより抵抗という作用が働くとされている。
精神分析的心理療法のプロセスにおいて、クライエントが専門的な治療や援助を求めながらも、治療の手続きや進行を妨害する場合がある。
具体的には、セラピストの指示と真逆の行動をとる、無断で面接をキャンセルする、わざと遅れてくるなどが挙げられる。このような行動を治療抵抗と呼ぶ。
これらの抵抗の内容や形態は、精神分析的心理療法において治療に活用できる重要な情報源だとみなされている。
そのため、抵抗の分析は、転移の分析と共に、精神分析において重要なものとされている。
自由連想の途中に沈黙という形で抵抗を示した場合は、無意識に隠れている恐怖や欲望への到達を拒んでいると考える。
治療抵抗の代表的なもの。アクティングアウトと呼ばれることもある。
クライエントの突然の治療のキャンセルや遅刻、あるいは無意識の愛着欲求や攻撃欲求を言語化する代わりに衝動的な行動でセラピストに表現することで、治療を妨害するような行動が表面化すること。
広義では、クライエントが抱える無意識の衝動・欲求・感情・葛藤が行動的に表現されることで不適応行動を起こすこととされている。
治療のキャンセルや遅刻という行動化は、それ以前の治療面接においてクライエントが意識化したくない無意識の内容に触れられたために生じている可能性が高い。
この場合行動化の背後にある無意識の内容を洞察させるために、行動化を対象にした抵抗分析が行われることが多い。
セリグスが治療場面でのクライエントの抵抗をアクティング・イン、治療場面外でのクライエントの抵抗をアクティング・アウトと区別した。
近年では治療場面外で起こるものを意味する場合が多い。具体的には自傷や自殺、薬物使用が挙げられる。
主に精神分析的心理療法ではアクティング・アウトを抵抗として解釈し、分析していく。
精神分析的心理療法の中では転移と並び特に重要な概念です。
詳細までしっかりと覚えておくことが非常に重要だと思います。
また、行動化の概念や具体的な特徴なども抑えておくことをおすすめします。