「臨床心理学」の心理アセスメントにおける主要な検査のひとつである自己評価式抑うつ性尺度(self-rating depression scale)について解説します。
(当サイトでは、以降よりSDSと呼びます。)
ツング(ツァン)によって作成された。
抑うつ症状を自己評価する尺度で、現在の抑うつ症状を尋ねる。うつ病の治療経過を測るためなどに使用されている。
抑うつ状態を数値化することによって客観的な判断することが可能である。
うつ病評価として簡便に用いることが出来るため、臨床場面でよく利用されている。
SDSではうつによる心理的側面と身体的側面の両面の症状を質問している。
抑うつ状態やうつ病の因子分析的研究に基づいて20の因子(睡眠・食欲・疲労・憂うつ)に対応できるように20個の質問項目で構成されている。
本来は、健常者を対象とする検査ではないが、精神衛生のためのスクリーニング検査として利用されることもある。
対象は成人の男女とされているが、青年期にも適用可能であるとされている。
また、治療効果の測定のための指標としても頻繁に利用されている。質問項目が20項目しかなく、比較的簡単に実施できるため自己評価が可能なクライエントに対しては適用可能である。
(スクリーニング検査とは、健常者と臨床群(うつ病)をふるい分けるための検査である。)
回答は、「1点:ないorたまに」「2点:ときどき」「3点:かなりのあいだ」「4点:ほとんど」の4段階評定である。
SDSの得点範囲は最低20点、最高80点である。
ツングはうつ病の境界を40点として以下のようにレベルを分類した。
【ツングによる分類】
・56点以上:重度
・48~55点:中等度
・40~47点:軽度
※要治療は中等度以上(48点以上)と考えられている。また、うつ病患者の平均は60点くらいであるといわれている。SDSの結果を正常群、神経症群、うつ病群に分けた場合、各群の平均点は、正常群=35点、神経症群=49点、うつ病群=60点である。
うつ病の診断テストとしてBDIと並び非常に多く用いられているテストです。
大まかな内容を抑えておくことをおすすめします。
また、うつ病についての正しい知識も重要ですのであわせて覚えておくことも重要です。