「臨床心理学」の心理アセスメントにおける主要な投影法のパーソナリティ検査である文章完成テスト(Sentence completion test)について解説します。
エビングハウスが知能検査として開発したとされているものを、アメリカのペインがパーソナリティー検査として発表したもの。
不完全かつ多義的な短い語句の後に、被験者が意味の通る文章を書き加える投影法のパーソナリティ検査。(前意識レベルの投影)
刺激文として主語の部分が提示され、反応文として述語部分を自由に被験者に記述してもらう。全60問から構成されている。実際には、パート1、パート2から構成されている。(各30問)
対象年齢は文章理解と作文能力が一定以上ある小学生以上、所要時間は40~60分である。
文章を書いてもらうことによって、パーソナリティ全体を把握することを目的にしている検査である。また、本人に実筆で書いてもらうため、筆跡や行間から思考やこだわり、やる気なども把握することが出来る。
そのため、臨床現場以外にも、教育機関や産業分野においても利用されている。
刺激文に対してどのように回答したかによって、被験者のパーソナリティをはじめとして、知能、生育歴、人生観、家族関係、社会的関係、意欲などを含めた総合的な人間像を把握する。そのため、SCTでは結果を数値化しないという特徴がある。
身体的要因・社会的要因・家庭的要因から、分裂気質(S)、循環気質(Z)、粘着気質(E)に分けられる。
具体的には、形式分析と内容分析に大別できる。
・形式分析
→文章にどう答えたのかという中身ではなく、文章の長さや筆跡、反応時間、文法などを見ることである。
・内容分析
→性格的な側面や、客観性、指向性、葛藤や攻撃性などを見ることである。
検査目的で利用するのが主であるが、場合によっては面接の話の導入に用いることもある。被験者が自ら意識して記入するため、治療者との間で内容を共有することが可能である。
実施方法が簡単で、集団実施が可能なため、様々な場面や対象に適用できる点。
・客観的評価が困難な仕様で、評価・分析には検査者の熟練が必要である点。
・投影法ではあるものの、意識的側面が大いに反映されやすく、回答の歪みが生じやすい。
投影法の心理検査として様々な場面で多く用いられているテストです。
大まかな概要や特徴を抑えておくことをおすすめします。
分析方法としては形式分析と内容分析の意味を覚えておくことがポイントです。
SCTは、ロールシャッハ・テストと組み合わせて使用されることが多いです。