「心理学研究法/心理学測定法/統計」の分野において重要な統計的仮説検定(testing statistical hypothesis)について解説します。
推測統計学(標本を用いて母集団の性質をつかむ統計手法)における検定法。標本で起こった状態が「偶然か」「偶然出ないか」に着目して母集団にも起こりうるかを判定すること。
<具体例>
大学生300人を被験者にして「大学生の外向性と友達の多さ」を検討する研究をした。
結果は、外向性が高いと友達が多いというものであった。
しかし、今回は数多くいる大学生の中からわずか300人のデータしかとっていない。
それにも関わらず、本当に大学生の一般論として「外向性が高いと友達が多いといっていいのだろうか?」
→このような疑問にぶち当たった時、大学生300人で得られた結果がすべての大学生に当てはまるのかを統計学的に検証すること=統計的仮説検定
◇帰無仮説と対立仮説を設定する。
・帰無仮説
→得られた結果は偶然で、有意な差がないとする仮説。(上記の例でいうと、外向的な性格と友達の多さが相関したのはたまたまその300人がそうであっただけで、全体に当てはまるような意味のないもの。)
・対立仮説
→得られた結果は偶然ではなく、有意な差があるとする仮説。(上記の例でいうと、外向的な性格と友達の多さが相関したという結果は、今回の調査した300人と同じようにすべての大学生に当てはまる意味のあるもの。)
① 研究において研究者が述べたいことを科学的に認めるためには、帰無仮説は棄却されなければならない。(対立仮説は帰無仮説を棄却することによって採択される。)
② 帰無仮説を棄却する判断基準となる確率値を有意水準と呼び、心理学では習慣的に5%か1%に設定することが多い。
③ 統計学では最初から対立仮説を目指すのではなく、まず帰無仮説が正しいという条件の下で考える。この条件の下で得られた統計量の現実値以上に極端な統計量が認められる確率を有意確率(p値)と呼ぶ。
④ 検定においては帰無仮説の条件下で対象の事象が生起する確率を求め、その確率が有意水準以下であれば帰無仮説は棄却され、対立仮説が採択される。
<+α>
→有意確率が小さいほど、対立仮説が正しいと主張しやすくなるので、有意水準は5%よりも1パーセントのほうが偶然の確率が低くなります。
ちなみに、10%の場合は意味のある差としては提示できず、傾向性までしか言えないとされています。
・帰無仮説
・対立仮説
・有意差
・有意水準
・有意確率(p値)
・研究で得られた結果が「偶然か」「偶然出ないか」を検定する統計手法を統計的仮説検定(testing statistical hypotheis)という。
・有意差なしとする仮説=帰無仮説、有意差ありとする仮説=対立仮説とよぶ。
・研究者が述べたい事象を科学的に認めるためには、帰無仮説を棄却し対立仮説が採択されなければならない。
統計的仮説検定の基本をつかむことは以降の分析に大いに役立つので抑えておいてください。