自閉症の療育における主要なプログラムのひとつであるTEACCHプログラム(Treatment and Education of Autistic and related Communication handicapped CHildren)について解説いたします。
ショプラーによって開発された。
自閉症当事者やその家族の生活を生涯にわたって支援していくための包括的な個別教育プログラムである。
自閉症の発達過程を、遅れていると捉えて矯正していくのではなく、発達のバラン差があると捉え、一人ひとりの優れた部分を発揮できるように支援していく。
TEACCHプログラムの原理を以下に挙げる。
① 子供の適応能力を向上させていく。
② 療育は親も協力して行う。
③ 療育者はスペシャリストを超えたジェネラリストでなくてはならない。
④ 教育プログラムは診断と評価に基づき個別的に行う。
⑤ 認知理論と行動理論の組み合わせで行う。
⑥ スキルを向上させるとともに、欠落を認識する。
⑦ 構造化された教育を行う。
自閉症の主な特徴として以下が該当する。
① 視覚的な刺激で学習する。
② 小さなところに目が行く。
③ 様々な観点・角度から物事を捉えることが難しい。
④ 感覚が敏感である。
⑤ 時間を理解することが難しい。
⑥ 組織化することが困難である。
このような特徴に対して構造化したアプローチは重要である。
構造化は具体的に分かりやすく伝えることで、やりやすい状態を作ることを目的とする。
周囲を物理的・視覚的に整理することで、妨害刺激を除去したり、境界を設定する。例えば、活動と場所の1対1対応をすることでこれから起きることの予測を可能にする。
ex)
・休憩の場所
・食事をする場所
・勉強の場所
など
絵や写真、文字、実物を通じてコミュニケーションを整理する。
・視覚的指示
→課題を達成するために必要な流れややり方を視覚的に提示することなど。
・視覚的明瞭化
→重要な情報を視覚的に強調することなど。
・視覚的組織化
→材料や空間、配置などを組織化することなど。
スケジュールを予告し、いつでも見えるようにすること。
ex)
・週間の簡単なスケジュールを書きだし見えるようにしておく。
・理解の程度、年齢、活動バランスなどに合わせて個別的にスケジュールを提示する。
など
自閉症の代表的なプログラムであるTEACCHプログラムについて解説いたしました。
自閉症の特徴を把握した構造化の考え方は有効なものです。
ぜひ理解しておいてください。