「臨床心理学」の心理アセスメントにおける主要な作業検査法のパーソナリティ検査のひとつである内田・クレペリン精神作業検査(Uchida-Kraepelin Performanse Test)について解説します。
目次
クレペリンが考案した連続加算法を、内田勇三郎が改良して発表した日本独自の作業によるパーソナリティ検査。
ランダムに並んだ1桁の数字を連続加算して、下1桁を記入してもらう。1分のインターバルを挟み次の行に移行してもらう。この一連の手続きを前半15分、休憩5分、後半15分の形式で行う。
この検査は、作業能率や計算能力、集中力などの能力面(知的能力)の特徴と、パーソナリティの特徴の両方を測定することが可能である。つまり、「学力」と「性格的特徴」の両者を同時に測定することが可能な適性検査であり、職業検査や教育現場で多く用いられる。
評価項目は、「作業量」「作業曲線」「誤答数」である。
・作業量:全体としてどのくらい計算できたか。
・作業曲線:1分毎(1列当たり)の計算量の変化。
・誤答数:完了している回答の計算ミスの数。
分析は、誤答数をチェックした上で、前半と後半でそれぞれ、各列の作業終了点を線で結び分析する。分析の方法は以下の2つに大別される。
・個別診断的判定:個別の特徴を分析すること。
・曲線類型判定:作業曲線の形について基準となる型(定型曲線)と比較すること。
【定型曲線とは?】
・初頭努力:前後半とも最初の列の作業量が最多であること。
・休憩効果:前半よりも後半のほうが作業量が多い。
・終末努力:中盤の列より後半の列のほうが作業量が多い。
これに加えて、曲線は適度に同様で誤答がほとんどないという特徴をもつ曲線のことである。
・実施、結果の整理が容易なため、集団実施が可能である。
・能力的な側面とパーソナリティ的側面の両方を同時に測定できるため便利である。
・結果の意図的な歪曲の余地が少ない。
・作業が単調で、被験者に苦痛を与えかねない。
・作業に対するモチベーションが結果に大きく関わってしまう。(実際の知能は測れていないという懸念が生じる。)
・同一個人であっても、その時の体調や状況によって統計的に無視できない水準の誤差が生じてしまう。(科学的に意味を待たない検査ではないかという議論も出ている。)
検査の概要や重要点をしっかりと抑えておくことがポイントです。
特に手続きや評価項目、分析や定型曲線(初頭努力、休憩効果、終末努力)は重要です。
ぜひチェックしておいてください。