「なぜ男は豊満な胸の女に魅力を感じるのか?」
人類にとって割と大きな疑問のひとつだと思うので科学的に解説します!
こういった疑問を公言するか否かは別として、少なからず心の中に抱いたことのある方が多いのではないでしょうか?
今回の記事では、多くの男が巨乳好きである理由について科学的に解説いたします。
目次
人間の現象を科学的に捉える際に大きく2つの視点があります。
① 体験と環境の影響を重視する社会科学モデル。
② 遺伝と進化の影響を重視する生物学モデル。
この2つはあくまで立場の違いであり、2つの視点を組み合わせて考えることが重要です。
なぜなら、人間の現象の多くが生まれ持った遺伝的基盤と、後天的な体験や環境要因の組み合わせで生起しているからです。
少なくとも現在のまともな科学者なら、「心は生物学的・遺伝的要因のみで成り立っている。」とも「心は生まれた時には白紙であり、すべて後天的な学習によって成り立っている。」とも言いません。
対象となる現象によっての程度の差はあれ、心は両者の組み合わせで成り立っているのです。
もちろん、身体現象の中には遺伝病や目の色、血液型など100%遺伝子によって決定するものもわずかながらにありますが、これらを例外にすれば、100%遺伝で決まる人間の特徴や行動はありません。
しかし、一般的な会話でなされる多くの議論が、環境や後天的な体験のみに焦点を当てて人間の現象の原因を探ろうとしていますよね?
これは科学的とは言えません。
その理由の一例として以下の実験を紹介します。
心の現象について、生物学的に考えないといけないことを示したひとつの根拠となる実験です。
生まれたばかりの赤ちゃんに、
①ブロンドヘアーの世界的モデルの女性の写真。
②一般的な女性の写真。
この2つの写真を見せたところ、赤ちゃんは文化を問わず統計的に有意に①ブロンドヘアーのモデルを凝視する時間と、微笑む回数が多かったのです。
これは、心理学の選好注視法という理論的基盤がある実験方法で、赤ちゃんが②よりも①により魅力を感じていた、あるいはそこまでいかなくとも心地よさを感じていたことが言えます。
これは、ブロンド美女に魅力を感じるのが、人間にとっての生まれつきの性質であるという確固たる証拠なのです。
すなわち、ブロンド美女のモデルが社会的に美しいと評価されていることを学習して習得する美意識であると考えるだけでは説明が出来ない現象であるということです。
この実験からわかるように人間には、生まれながらにしてある程度備えている性質があるのです。
生まれながらに備えている人間の性質の一部を「本能」と呼ぶ人が多いですが、これは概ね当たっています。
社会化や学習のみに焦点を当てて議論することは真実性に欠けるのです。
動物としての人間の性質までを含み議論することが「人間の本性」や「人間とは何か?」を考えるためには必要です。
多くの心理学分野では、「社会の動き」や「人間と社会との相互関係」に注目して研究がなされています。もちろんこれは重要な視点ですし絶対に必要です。
しかし、それだけですべてを分かろうとしてはいけません。
そこで生物学モデルを基盤としながら、「長い進化の過程で人間の性質が決定されて今の形や機能をとっている」という前提を元に心を捉える心理学の立場が、近年台頭してきました。
それが進化心理学です。
今回は文化的要素、社会的要素、後天的な学習ということをいったんすべて無視して、進化心理学的な視点で「多くの男が巨乳を好む理由」について解説いたします。
言葉を変えて言うと「多くの男が巨乳を好む理由」は学習によるものではなく、われわれ人間の遺伝子に書き込まれた生まれつきの性質であるということです。つまり、この性質が文化や時代に関係なく存在しているという事実にのっとって議論を進めていきます!
では早速
なぜこのような性質が遺伝子に書き込まれたを解き明かした研究を紹介します。
みなさんは、人間の遺伝子にとって最も大切なこととは何だと思いますか?
人間が生物として最も大切にしているテーマです。
この記事では上述したように進化心理学の視点から人間の現象を考えますので、社会的価値観や理想論はいったん無視します。
価値観や理想論ではなく人間の本性に向き合うのが進化心理学です!
良いか悪いか?規範的か否か?の話をしているわけではありません。
客観的な事実としての話をしているのです。
では答えを発表します!
人間の遺伝子にとって一番大切なこと=子孫を残すこと
進化論の大前提に立つと当たり前ですが、生物にとって最も大切なことは子孫を残すことです。
そう書き込まれた遺伝子をすべての生物が持っているからです。
何を隠そう。我々生物は生まれてきたから存在しているのですから、、当たり前のことです。
すなわち、進化心理学的では、あらゆる人間の現象の原因は子孫を残したいからという動機の産物と考えます。
男が巨乳好きになるという現象も例外ではありません。
ですので、性選択上の理由で、あるいは恋愛市場で豊満な胸の女性がより有利になっているとするならば(平たく言うと巨乳の女性が男性にモテているならば)、巨乳の女性はより繁殖能力があるということになります。あるいは、巨乳であることが育児に有利に働くということになります。
つまり、「なぜ多くの男性が巨乳な女が好きなのか?」という疑問に対する進化心理学的な答えはこうならなければいけないのです。
巨乳であることは、子供を残す、あるいは育てることに有利な条件であるといえるから。
これで話は終わりのはずです。
しかし、事実として、胸の大きさは繁殖能力、授乳能力共に全く関係がなく、胸が小さくても出産と子育てには何ら差支えはないのです。
この生物学的事実が、進化心理学者を長らく苦しめていました。
多くの男性が巨乳好きなのは、巨乳であることが子供を残すために有利であるためと言えなかったからです!
しかし、あらゆる時代、あらゆる文化で多くの男性が巨乳を好む事実があることを無視出来なかった数多くの気鋭な研究者は諦めませんでした。そして結論にたどり着いたのです。
人類にとっての大きな疑問!
「なぜ多くの男が巨乳の女を好むのか?」
我々がこの問いに対する納得のいく科学的な答えを知るには1990年代後半まで待たなければなりませんでした。
ハーバード大学の人類学者、フランク・マーローの卓見で、この謎がようやく解決されたのです。
答えを言う前に重点を振り返りましょう。
① 人間という種の遺伝子にとって最も大切なことは子孫を残すこと。
② 人間のあらゆる行動の原因は進化的には子供を残したいという動機に基づくものである。
③ 男が巨乳の女を好きになるのは、巨乳であることが子供を産む、あるいは育てるために何らかの好都合があるからだ。
④ しかし、胸の大きさは子供を産む、あるいは育てることに関して何の関係もない。
以上が話の論理的に重要な点です。
子供を産む、あるいは子供を育てることに有利な条件を持っている異性にひかれるように人間は作られています。
(価値観ではなく、あくまで進化心理学的な話をしています。)
答えは分かりましたか?
次が答えになります。
女性の生殖にとって重要な要素のひとつ。
それは「若さ」です。
閉経後は繁殖できません。
男性にとって子供を残すためには、女性が若くないといけないのです。
もう一つの要素、
人間は直立二足歩行です。
この二つのキーワードで分かるはずです。
答えはこちら
マーローが着目したのは、大きくて重たい胸は年を取るとはっきりとわかるほどに垂れ下がるということでした。
そうです。
大きくて垂れ下がっていない胸は女性が若いことを示す重要な情報なのです。
すなわち、繁殖価を示す重要な指標であるということです。
小さい胸は年をとってもさほど変化しません。
進化の過程を遡ると、祖先たちの時代には年齢を確認する証明書や誕生日の概念はありませんでした。太古では文字や言葉もなかったかもしれません。
そのような状況下では、男たちは何らかの身体的な特徴から女性の年齢と繁殖価を推測しなければなりませんでした。
胸の形状は、当時でも女性の年齢を推測する上でかなり信頼できるサインでしたが、加齢によってはっきりと形が変わるほど大きいという条件が必要でした。
とにかく、垂れてない大きな胸の女を選べば若いから配偶出来る。そのため大きな胸に魅力を感じる。
そういう配偶戦略で命のバトンを継承してき祖先の子孫が我々なのです。
もちろん現在では、年齢という概念ができ知識のみで分かるでしょう。
しかし、僕らの遺伝子はなにも分かっていないのです。
現在の男の遺伝子は1万年前とかわらず今でもこう言うはずです。
「垂れてない大きな胸の女配偶可能な程度に若い」と。。
生物の遺伝子は繁殖のために合理的な戦略をとるのです。
結論まで読んでみて、「言われてみれば当たり前だよな。」「なんで気づかなかったのだろう?」とコロンブスの卵のごとく思った方もいるでしょう?
僕は、これを一番最初に知った際に人間の遺伝子がいかにすごいか思い知らされました。
今回のように、日常生活に存在する当たり前の現象や何げない会話の疑問に人間の本質が隠されている場合が結構あります。
今回は、このようなテーマでしたが、心理学は人間の本性をとことんにまで深く問い詰めていく科学です。
皆さんが「人間を深く知ることが楽しい」と思っていただけたなら幸いです。
男女関係の現象、あるいは人間現象の奥深い原因についてさらに勉強してみたいと思った方や、今日行ったかもしれない当たり前の行動や普段感じている感情の意味について深く考えてみたい方などにおすすめの本が3冊あるので紹介します。
➤進化心理学から考えるホモサピエンス 一万年変化しない価値観
➤進化心理学を学びたいあなたへ: パイオニアからのメッセージ
Marlowe,Frank.1998.”The Nubility Hypothesis: The Human Breast as an Honest Signal of Residual Reproductive Value.”Human Nature.9:263-271.