「臨床心理学」において主要な治療法のひとつである行動療法(behavior therapy)について解説します。
不適応や問題行動の原因を、不適切な学習によるものとみなし、学習理論を用いて不適切な行動を消去し、適切な行動を学習することを目指す心理療法のこと。
スキナーらによる、統合失調症のクライエントのオペラント条件付けに関する論文で初めて使用され、本格的に用いられたのはアイゼンクが神経症のクライエントを治療した時がはじめとされている。
精神分析を批判し、客観的に観察可能な行動を焦点をあてる、科学的な臨床心理学の確立を目指した。
症状の除去や行動の変容など目に見える効果を目標とし、目に見えない人格の変容を直接の目標とはしないという立場である。
行動療法の種類を以下に示す。なお、これらは行動療法の4大モデルと呼ばれている。
【行動療法の4大モデル】
・新行動SR仲介理論モデル
→アイゼンクやウォルピの理論が基になったあるいは開発した、系統的脱感作法、エクスポージャーなどの技法を用いるもの。
・応用行動分析モデル
→スキナーの理論が基になった、シェイピング法、トークン・エコノミー法、タイムアウト法、嫌悪療法、バイオフィードバックなどの技法を用いるもの。
・社会学習理論モデル
→バンデューラーのモデリング療法が代表的。
・認知行動療法モデル
※単一の技法では実際の臨床的問題を解決するには不十分であることが多いため、複数の技法を組み合わせることが一般的である。
学習理論をベースとしているため、学習心理学の理解が求められる領域になります。
現在の臨床心理学において主要な治療技法であるため、特に重要な領域であるといえます。
まずは、行動療法全体の概要や4大モデルをしっかりと抑えておくことをおすすめします。
そのうえで、個別の治療技法についても知識を深めていくことをおすすめします。