「生理心理学」における重要な用語のひとつである脳波(electroencephalogram:EEG)について解説いたします。
目次
ヒト・動物の脳は電気活動を行っており、その電気活動を電極によって記録したもの。電極近傍の神経細胞集団の活動記録の総和を記録している。
一般的には脳皮上に電極をつけるて測定するもので、侵襲性はない。
事象関連電位(ERP)
事象関連電位とは、何らかの事象(例えば刺激)に時間的に関連して生じる電位変動を加算平均して分析すること。
<脳波の分類>
・α(アルファ)波:成人の安静時や覚醒併願時などのリラックス状態に出現する。
・β(ベータ)波:精神的緊張時など活発に活動しているときに出現する。
・δ(デルタ)波・Θ(シータ)波:乳幼児期や成人が深い眠りにある時に出現する。
(てんかん患者には、突発性脳波異常を示す棘波が見られる。)
名称 | 周波数(Hz) | 主な状態 |
β(ベータ)波 | 13~33 | 覚醒状態、不安・緊張・ストレス状態においても見られる。 |
α(アルファ)波 | 8~13 | 安静時、閉眼覚醒時、リラックス状態。 |
Θ(シータ)波 | 4~8 |
浅い睡眠時、REM睡眠。(認知症で増加することも知られている) |
δ(デルタ)波 | 1~4 | 深い睡眠時、徐波睡眠。 |
ヒトの睡眠は、REM睡眠とnonREM睡眠を90分周期で繰り返すといわれている。
【REM睡眠とnonREM睡眠の特徴】
REM睡眠 | nonREM睡眠 | |
眼球運動 |
急速眼球運動 (rapid eye movement) |
なし |
体 |
骨格筋の緊張を抑制している 休んでいる |
筋肉は活動している 起きている |
脳 | 活動している | 休んでいる |
眠りの深さ | 浅い | 深い |
夢 | 見ている | 見ていない(正確にはみているという議論もある) |
睡眠は眠りの深さを基準に4段階に分けられている。睡眠脳波から、nonREM睡眠を4段階に分けたものである。
前半の4段階目までがノンレム睡眠であり、5段階目がレム睡眠である。
睡眠開始時の段階のことであり、α波が多くみられる。
ウトウトした状態であり、極めて浅い眠りの状態である。
躁睡眠時間の約5%を占める。
睡眠紡錘波がみられる。
軽い寝息を立てる中程度の深さの睡眠である。
出現率は45~55%と最も多くの割合を占める。
δ波のほかΘ波もみられる。
眠りは深く外界の刺激を感じない状態である。
脳波上の問題で、第4段階とは区別される。
出現率は20~50%であり、睡眠の前半に多く見られる。
第3段階とほとんど同じ状態である。
脳波の割合としてδ波が圧倒的に多くなるという点で分類されている。
δ波が50%以上を占めるといわれている。
レム睡眠である。
一晩の睡眠の周期の中で、前半は割合が少なく後半につれ割合が上がる。
夢はを見るような睡眠であり、特に起きる直前に見た夢は覚えていることもある。
脳波や睡眠の種類、睡眠の段階などは非常に重要ですのでぜひ抑えておいてください。