「精神医学」における主要な概念のひとつであるてんかん(epilepsy)について解説します。
繰り返しおこる発作を主な症状とする慢性的な脳の障害である。(内因性)
55歳以上となると急激に罹患率が高くなるというデータがある。
有病率は0.4~1%だとされており、脳の神経細胞の過剰な放電や発火が原因で起こる。
※転換患者の約2割~4割は何らかの精神科的問題を持ち合わせているとされており、心理社会的要因や器質的要因など様々が背景として考えられる。
てんかん発作は、全般発作と部分発作に分けられる。
全般発作は、脳全体が一気に過剰興奮して起こる発作である。部分発作は、大脳皮質の一部分から生じた神経の過剰な興奮によっておこる発作である。
以下に代表的な発作の詳細を挙げる。
・全般発作
強直発作:全身を硬直させたり、呼吸が止まりチアノーゼを起こす。
間代発作:けいれんを起こし、唾液の泡をだす。また、発作が終わった後に失禁することもある。
ミオクロニー発作:腕や肩が突然動き、持っているものを落とす場合もある。
・部分発作
単純部分発作:上腹部に不快感を感じる。未視感を感じることもある。
複雑部分発作:片方の手を無目的に動かし、もう片方の手は独特の形をとる。一点を見つめ動作が停止する。
発作の大きさは、一般に大発作と小発作に分けられる。
大発作(グラン・マル):突発的に又は前兆に続いて起こる、全身のひきつけや意識喪失を伴う。
小発作(プチ・マル):身体の一部のひきつけや一時的に起こる意識障害を伴う。
病因は、脳に器質的な病変を見出すことが出来る症候性てんかんと、脳に器質的な病変を証明できない特発性てんかんに分類される。
以下に詳細を挙げる。
症候性てんかん |
・脳の形成以上 ・脳の傷痕 ・脳腫瘍、脳管腫 |
特発性てんかん |
・単一遺伝子異常 ・多因子遺伝 |
また、患者特有の性格特性に精神科医のクレッチマーが示した粘着気質がある。
てんかんに対しては薬物療法が中心である。
抗てんかん薬を継続的に服用する必要がある。
具体的には、部分発作の第一選択薬はカルバマゼビン、全般発作の第一選択薬はバルプロ酸である。(発作の種類により異なる)
※薬の中断により、てんかん発作重積(発作が頻回に反復して発作前の状態に回復できない状態)になる恐れがあるため、注意が必要である。
発作が難治な場合には外科手術が検討される。
また、補助的な治療法として心理療法の一種であるバイオフィードバックが試みられることもある。
発作の名称は覚えずらいですが具体的な症状や分類までしっかりと理解しておくことがおすすめです。
またてんかんは、かつて統合失調症と双極性障害と共に三大精神病と呼ばれていた疾患です。
しかし現在では脳の電気的な興奮の異常による疾患とされています。このような歴史もまめ知識として押さえておくとベストだと思います。