「臨床心理学」の心理アセスメントにおいて主要な検査のひとつであるITPA言語学習能力診断検査(Illinois Test of Psycholinguistic Abilities)について解説します。
(当サイトでは、以降よりITPAと呼びます。)
カークによって開発された検査。
子供の言語能力の内、伝達と理解に関する能力の測定を行うことを目的としている検査。
全体的な発達レベルだけではなく、どの能力が優れ、どの能力が劣っているかといった個人内差を測定することが可能で、子供の言語学習能力を多面的に捉えることが出来るといった特徴がある。
※適用年齢は3歳0か月~9歳11か月である。
実施は、10の下位検査(言葉の理解、絵の理解、言葉の類推、絵の類推、言葉の表現、動作の表現、文の構成、絵探し、数の記憶、形の記憶)を行う。しかし、数の記憶、形の記憶の2つの下位検査のみで行う簡略版(サンプリング法)も用いられる場合がある。
言葉の発達に遅れがある子供や学習障害のアセスメントや療育に利用されている。
ITPAの解釈法の詳細を以下に示す。
・各下位検査における標準平均値との比較検討を行う。
・個人内における各下位検査間の比較検討を行う。
・3次元間(2つの回路、3つの過程、2つの水準)の比較検討を行う
【ITPAの3つの次元とは?】
2つの回路=「聴覚-音声」「視覚-運動」
3つの過程=「受容」「連合」「表出」
2つの水準=「表象」「自動」
ITPAの結果を基にして、遅滞や欠如を補う訓練などが行われることもある。
また、子供の知的能力の評価・アセスメントには、ITPAを単独で用いるのではなく、他の検査とテストバッテリーを組んで使用するのが望ましいとされている。
他の主要検査はこちらからご覧いただけます。必要でしたらチェックしてみてください。
言語学習能力を多面的に測定することが可能なITPAの紹介・解説でした。
参考にしていただけると幸いです。
また、心理アセスメント全体を解説した記事も書いておりますのであわせて確認してみてください。重点を詳細に解説しています。