「臨床心理学」の心理アセスメントにおける主要な検査のひとつであるK-ABC心理・教育アセスメントバッテリー(Kaufman Assessment Battery for Children)について解説します。
(当サイトでは、以降よりK-ABCと呼びます。)
カウフマン夫妻によって開発された知能検査。
子供の知能と習得度を個別に測定することを目的としている。
※適用年齢は、2歳6か月~12歳11か月である。
K-ABCでは、子供の知的能力の測定について以下の2つの側面から捉えている。
・知能=情報を認知的に処理して問題を解決する能力である認知処理過程尺度
・習得度=知識の過程や読解力、過去に学習した知識である習得度尺度
認知処理過程尺度は、さらに、継次処理尺度(情報を1つずつ連続的に処理する能力)と同時処理尺度(情報を全体としてまとめて処理する能力)に分かれ、習得度尺度と合わせて14の下位検査から構成される。
具体的なものを以下に示す。
認知処理過程尺度 | 継次処理尺度(下位検査3つ) |
手の動作、語の配列、数唱 |
同時処理尺度(下位検査6つ) | 顔探し、魔法の窓、絵の統合、模様の構成、位置探し、視覚類推 | |
習得度尺度(下位検査5つ) | 算数、なぞなぞ、文の理解、ことばの読み、表現ごい |
検査の結果から子供の知的能力と認知処理過程の特徴を把握することが出来る。これらから子供の能力や適性を理解することが可能である。
検査の結果を子供の教育や指導に生かすことが出来る。
認知処理過程尺度と習得度尺度を総合する得点はない。得点は、ウェクスラー式知能検査と同様に偏差知能指数(DIQ)による標準得点で示す。
(自閉症児は一般に、同時処理尺度が強く、継次処理尺度が弱いと報告されている。)
偏差知能指数(DIQ)の解説は、ウェクスラー知能検査の記事で行っております。必要な方はこちらを参考にしてみてください。
2013年に刊行されたK-ABCⅡは、2歳6か月~18歳11か月を適用年齢としている。
また、ルリア理論とCHC理論に基づいて作成されており、結果は相補的に解釈できるといった特徴がある。
K-ABCの解釈のポイントを示す。
① プロフィール図を作成しそれを分析する。
② 認知処理過程尺度の継次処理尺度と同時処理尺度の標準得点の比較を行う。
③ 習得度尺度の標準得点を、継次処理尺度と同時処理尺度の標準得点と比較する。
②では、子供の特異な認知処理スタイルを解釈することが出来て、③では、子供が実際に習得できているかどうかを検討することが出来る。
子供用の知能検査としてしばしば用いられるものです。
知能と習得度というワードをしっかりと抑えておきましょう。
更に、認知処理過程尺度や習得度尺度、継次処理尺度や同時処理尺度といった用語も理解できればなお良いと思います。
心理アセスメント(総論)についても下のリンクからチェックしてみてください。