「臨床心理学」における重要な治療技法のひとつである内観療法(naikan therapy)について解説します。
吉本伊信が考案した、日本独自の心理療法。
外部からの刺激が遮断された狭く静かな部屋に入り、身近な家族や知人に対して「してもらったこと」「して返したこと」「迷惑をかけたこと」の3点について内省する。
この心理療法は「身調べ」という浄土真宗の精神修養法を基にしている。
一般に朝6時から夜9時まで、1週間かけて継続的に行い「してもらったこと」「して返したこと」「迷惑をかけたこと」の3点について思い出したことを、1~2時間度とに訪れる面接官に3分程度で報告するという形式をとる集中内観という方法がとられる。
場合によっては森田療法と併用しながら治療が進められることもある。
そして、内観3問による過去の人生の深い内省により、自分は1人で生きているのではなく、他人に生かされ、受容されているということに気付くようになる。
⇒結果として、不安感やストレスが低減して、神経症や心身症、依存症や摂食障害の治癒につながる。また、人生観や行動の修正、肯定的な自他の認知が可能となる自己啓発の役割も果たすとされている。そのため、不登校や非行といった学校現場での減少や人間関係の問題などにおいても効果が報告されている。
※罪意識の確認や他者への感謝、安心感の獲得や自我同一性の確立などに寄与する。
(内観療法の中には、病院ではなく、日常生活の中で1人のみで行う日常内観というものも存在する。)
日本で開発された心理療法であり、非行や引きこもり、依存症や摂食障害などに対して効果があると報告されています。
過去の自分について「してもらったこと」「して返したこと」「迷惑をかけたこと」の内観3問を深く内省することによって、社会で生きていく上で重要な視点への気づきが得られるということです。