「精神分析学」における重要な理論であるエディプス・コンプレックス(oedipus complex)について解説します。
精神分析の祖であるフロイト,Sによって提唱された概念。
精神分析的発達理論における男根気(4~6歳)に生じる子供の親に対する愛と憎しみの複合的な心理状態を表したものである。
ギリシャ神話に登場する母親を奪うために父親を殺害してしまったエディプス王に由来している。
男児のエディプス・コンプレックスの具体的な流れの詳細を以下に示す。
① ペニスの存在から自分自身が男性であることを意識する。
② 最も身近な女性である母親に性愛感情を抱く。
③ 性愛感情を実現するために、父親に敵意を抱き排除することを考える。
④ その罪として、父親からペニスを奪われる(虚勢不安)ことなどの報復を恐れる。
⑤ 母親への性愛感情と父への敵意を抑圧する。
⑥ 抑圧と同時に、母親が愛している父親への同一視が起こる。
上記6つのプロセスを経て潜伏期へと移行する。
なお、女児には虚勢不安はないものの、基本的には男児と同様のプロセスを経験するとされている。
エディプス・コンプレックスは発達的に以下の2つの意味を持つ。
・超自我の形成
→母親への性愛の抑圧から、世界には道徳や社会的規範があることを知る。
・性役割の獲得
→父親への同一視で父の持っている男性らしさを自分に取り入れるという経験をする。
女児は、自身にペニスがないことに劣等感を感じて、ペニスを与えてくれなかった母親を憎み、ペニスがある父親に対して憧れを抱く。
このような特殊な心的過程を説明し、男児と区別するために、精神分析家のユングはこの女児の心的葛藤をエレクトラ・コンプレックス(electra complex)と呼んだ。
精神分析において非常に重要な概念です。
概念全体の意味や実際のプロセスを説明できるように理解しておくことをおすすめします。
また、補足的に説明を加えたエレクトラ・コンプレックスについても抑えておいてください。
更に、精神分析の発達理論についての知識もエディプス・コンプレックスを理解するうえで重要となってきますので、以下よりあわせてチェックしてみてください。