「精神医学/心身医学」における主要な疾患である心身症(psychosomatic disorder)について解説します。
身体疾患の中で、その発症や経過の中に心理社会的な因子が密接に関与し、器質的・機能的障害が認められる疾患のこと。
(身体表現性障害は、器質的・機能的障害)が認められない。)
ストレス関連疾患の増加、治療の困難さより、従来の身体医学的モデルから心身医学的モデルに基づく全人的治療の必要性が知られるようになった。
誘因や原因については、心身相関を認める。
※心身相関とは、心と身体が密接に関連しているという概念でる。具体的には、心理・精神状態と、内分泌系、免疫系、自律神経系との関連が知られている。
DSM(精神疾患の診断と統計のマニュアル)では心身症という病名は存在しておらず、診断では、器質的障害が裕であった場合、精神疾患は除外される。
心身症は病名が多くすべて挙げるときりがない。従って代表的な心身症をまとめる。
循環器系 | 虚血性心疾患 |
消化器系 | 過敏性腸症候群 |
呼吸器系 | 気管支喘息 |
神経・筋系 | 偏頭痛,緊張型頭痛 |
内分泌系 | 糖尿病,甲状腺機能亢進症 |
耳鼻科 | アレルギー性鼻炎,メニエール病 |
歯科・口腔外科 | 口内炎 |
婦人科 | 更年期障害,月経前症候群 |
皮膚科 | アトピー性皮膚炎 |
心身症のクライエントに特有な病前性格としてシフネオスによって提唱されたアレキシサイミア(失感情表現症)がある。
これは、身体症状や事実関係は述べられるが、自らの内的状態や感情を表現できないという特徴がある。
主な原因はストレスであると考えられており、ストレス反応が内分泌系や免疫系、自律神経系にそれぞれ関連して心身症が発症するとされている。
基本的にそれぞれの疾患に応じた身体医学療法に心理療法が併用される。
・心理療法では、原因であるストレスに対してうまくコーピングが出来るように認知行動療法を用いて不適切な認知や対処行動を修正する。
また、自律訓練法や漸進的筋弛緩法などのリラクゼーション法を用いストレス反応を軽減する。
・薬物療法では向精神薬として、睡眠薬や抗うつ薬、抗不安薬が用いられる。
身体表現性障害と心身症の違いは混同しやすいですね。
器質的・機能的な障害が認められるものを心身症、器質的機能的な障害が認められないものを身体表現性障害と定義します。再度確認をしておいてください。
具体的な疾患名をすべて把握するのは困難ですが代表的なものを抑えておくことをおすすめします。
また、病前性格として有名なアレキシサイミア(失感情表現症)についての理解も必須です。