「臨床心理学」並びに「精神医学」における重要な用語のひとつであるレジリエンス(resilience)について解説いたします。
ラターによって提唱された概念。
「深刻な危険性にも関わらず、適応的な機能を維持しようとする現象」と定義づけられた用語である。
すなわち、困難に対する耐久力・抵抗力・柔軟性を意味するものであり、臨床心理学や精神医学の研究・実践において重要視されている概念のひとつである。
※脆弱性の対義語である。
レジリエンスが高い者は、ストレスフルな状況にあっても、それに適切に耐え、適応的に生きることを可能とする、耐久力・抵抗力・柔軟性を持っていることになる。
対して、レジリエンスが低いものは、ストレスフルな状況に対して、適切に耐えることが困難であり、脆弱であり、適応的な精神健康を保つことが困難になりやすい。
実際にレジリエンスの高低によりPTSDへの罹患率が異なり、レジリエンスが高いとPTSDにかかりづらいという実証的な報告もある。
レジリエンスを構成する要素は非常に多く、生得的な要素だけではなく、発達の過程で獲得する要素も含まれるといわれている。
また、レジリエンスは文部科学省の提起する「生きる力」との類似性・親和性が高く、健康教育として、レジリエンスを強化するような介入が注目されている。(特にいじめや虐待にあった子供たちに対する介入の視点としてレジリエンスの強化が注目されている。)
更に、心理学や精神医学の研究においてもレジリエンスという概念が注目されている。
レジリエンスは、人間の精神的な強さや帯勢力、回復力や柔軟性といったものを示す概念であり、精神疾患や精神的不適応の解決や介入に向けた方略のキーワードにもなることのある非常に重要な用語です。
ぜひ、内容の理解をしてみてください。