「認知心理学」における主要な理論のひとつである系列位置効果(serial position effect)について解説いたします。
アトキンソンとシフリンが提唱した理論。
記憶課題において、提示順により再生率(学習成績)に違いが生じる現象を指す。
簡単な単語を記憶してもらう実験を行う。その際に、単語を連続的に数語提示する。この時被験者の学習成績が提示された単語の順番によって変わる現象が起きる。
(この際、提示する単語の難易度は同等である。)
系列位置学習における具体的な効果は、初頭効果と新近効果である。
・初頭効果
→系列位置順が最初の数項目の単語の再生率が高い性質を表したもの。
・新近効果
→系列位置順が末尾部分の再生率が高い性質を表したもの。
・初頭効果は、短期記憶の容量に余裕がある上に、再生までの時間が長くリハーサルされやすい。その結果情報が長期記憶に保持されやすくなる。
・新近効果は、提示から再生の時間が短いため、情報が短期記憶に保持されている。なお、提示から再生までの間に1分ほどの妨害課題を挟むことで、短期記憶は消失し新近効果はみられなくなるという性質がある。
つまり、提示順が前の単語は長期記憶に保持され再生率が高く(初頭効果)、提示順が後ろの単語は短期記憶に一時的に保持され高くているため再生率が高くなる(新近効果)。
※短期記憶や長期記憶は、系列位置効果の研究を基に提唱された記憶の二重貯蔵モデルによるものである。
系列位置効果の実験は非常に有名で、記憶研究の中核と言っても良いものです。
とても重要な要素が盛り込まれているため必ず押さえておくべきです。
その際に、関連記事にあげた3つもあわせて理解しておくと便利です。
特に、記憶【感覚記憶・短期記憶・長期記憶】←こちらの記事と系列位置効果は直結している部分もありますのでぜひチェックしてみてください。