「発達心理学」における代表的な実験であるストレンジ・シチュエーション法(strange situation procedure)について解説します。
エインズワースによって考案された、乳児の母親に対する愛着の質を測定するための実験方法。
乳児、母親、他者(ストレンジャー)の3人が一室に入り、母親や他者が出入りした際に、子供が母親に対して見せる行動を観察することで愛着の発達を測定する。
ストレンジ・シチュエーション法は全8場面で構成されている。
・第1場面:実験者が母子を実験室に案内する。
・第2場面:母親は椅子に座り、子供におもちゃで遊んでもらう。(この時、母親は子供の遊びには関与しない。)
・第3場面:ストレンジャーが実験室に入室する。(ここでストレンジャーは1分間沈黙した後、1分間母親と話す。その後1分間子供に働きかける。)
・第4場面:母親は退室する。ストレンジャーは子供に合わせて行動する。
・第5場面:母親が入室し、ストレンジャーは退室する。(この時母親は、子供を遊ばせる。)
・第6場面:母親が退室し、子供を実験室に1人にする。(子供の心理的苦痛を配慮し最大3分までとされている。)
・第7場面:ストレンジャーが入室し、子供を慰める。
・第8場面:母親が入室し、子供を抱き上げる。
この実験から子供の愛着の質は4つに分類される。
・回避型(A型)
→母親の退行に抵抗を示さず、母親が部屋に戻ってきても母を求めない。
・安定型(B型)
→母親の体質に強い抵抗を示すものの、母親が戻ると嬉しそうに歓迎する。
・アンビバレント型(C型)
→母親の体質には強い抵抗を示すが、母親が戻っても歓迎をしない。
・無秩序・無方向型(D型)
→母親が入室した際に顔を背けながら地下ずくなどの接近と回避行動を同時に起こる。
※無秩序・無方向型(D型)は、最近の研究で言及されるようになった。これは、虐待された子供や、両親が精神疾患の家庭に多くみられる愛着様式であると考えられている。近年はこのタイプが増えているという報告もある。
この実験は発達心理学の分野で非常に有名なものです。また、心理学の観察法による研究の中でも代表的な研究です。
提唱者や実験の内容をしっかり押さえておくことをおすすめします。
具体的には、実験の8つの場面を理解しておくことがベストでしょう。
更に、愛着の質の分類も抑えておきましょう。近年言及され始めた無秩序・無方向型(D型)も必須の知識です。