「精神分析学」の分析心理学における重要な概念のひとつである共時性と布置(synchronicity/constellation)について解説いたします。
ユングによって提唱された概念。
■共時性(シンクロニシティ)
→意味のある偶然の一致を重視し、従来の因果律では説明できない、離れた場所で同時期に生起する出来事を説明するための原理。
■布置
→1つ1つの事象がそれだけでは何の関係もないようであっても、ある時それらが1つのまとまりとして意味が内包されて見えてくること。
ユングは、意味のある偶然の一致を重視し、因果律によらない規律である共時性を考えた。
分析心理学派の心理療法では、何らかの転機が訪れる場合に、共時性が経験されることが多いといわれている。
その際、事象の原因を探るのではなく、何が起こり、どのような意味によってつながっているのかという点に注目することが重要であると考えられている。
関係のないことが、ある時にまとまった意味として捉えられるような現象を指す。
心の中の状況と、外的に起こることが合致して、全体として星座のようにまとまることは重要な意味を持つと考えられている。
【コガネムシと女性の話】
ユングがある女性のクライエントと面接を行っている際に、金色のスカラベ(コガネムシ)を与えられた夢が女性から語られた。
その時に面接室の窓に何かがぶつかった音が聞こえたため、窓の外を見てみると、コガネムシがぶつかって落ちているのを発見した。
ユング心理学は、フロイトと大きく異なり、無意識内容を探求していく際に原因を探るのではなく、その人の「生」がどこへ向かっているのかを考える目的論的視点を取るという特徴がある。
そのため、クライエントの神経症的苦悩の中に、肯定的な意味を見出すことが出来る。
ユングは、明確な因果関係では説明できない偶然の一致を意味あるものと捉え、心理療法に組み込みました。
今回の記事で紹介した共時性と布置は、ユング派の心理学において非常に重要な概念ですのでぜひ覚えてみてください。
下のリンクに関連する用語を貼っておきます。この機会に合わせてチェックしてみてください。