「発達心理学」における主要な理論のひとつである心の理論(theory of mind)について解説します。
プレマックにより提唱された理論。
4歳ごろに獲得されるといわれている、他者には自分と異なる心的状態がそれぞれ独立して存在していることを理解する能力のことを指す。
=他者の感情や思考、意図などの心的状態に対する理解のことをいう。
「心の理論」を確かめる課題として有名なものに、バロン-コーエンによって開始された誤信念課題(サリーとアンの課題)がある。以下にその内容を示す。
【誤信念課題(サリーとアンの課題)】
① サリーが箱にビー玉を入れて退室(ビー玉は右のかご)
② サリーがいない間に、アンはビー玉を移し替える(ビー玉は左のかご)
③ サリーが再入室しビー玉を探す。
⇒この課題の結果、4~5歳くらいでアンは本当はビー玉が左のかごに入っていることを知っていても、サリーは右のかごに入っていると正しく答えることが出来る。
(この結果は、ピアジェが6歳以降の具体的操作期にならないと他者の視点をもてないと述べたことの反証となった。)
この心の理論は、自閉症との関連が指摘されている。
4歳児の多くは、誤信念課題(サリーとアンの課題)が出来るのに対し、自閉症の4歳児の多くは、誤信念課題が出来ず、自閉症の抱える様々な困難は心の理論を持たないことが原因ではないかと考えられるようになった。
もちろん、心の理論のみで自閉症のすべてを理解できるわけではないが、自閉症児の理解への新たな視点を提供する理論として注目されている。
心の理論は、相手にも自分と同じように心というものが存在していて、人間それぞれ別々な視点が存在するということを表している発達理論です。
代表的な課題として例を提示した、誤信念課題(サリーとアンの課題)の手順や内容について理解しておくことが重要だと思います。
また、ピアジェの考え方との相違を簡潔に整理しておくことをおすすめします。更に、自閉症との関連についての見解も重要です。
関連用語として、ピアジェの認知発達論と自閉症を貼っておきましたので、ぜひ一緒に確認してみてください。