「臨床心理学」における主要な治療技法のひとつである系統的脱感作法(systematic desensitization)について解説します。
ウォルピ,Jによって開発された心理療法。
古典的条件づけ(レスポンデント条件づけ)の拮抗条件づけの原理を用いた行動療法であり広く用いられている。
※拮抗条件づけとは、当該反応とは逆の方向性や価値を持つ反応を対呈示することにより、当該反応を抑制・除去する手続きである。(逆制止とも呼ばれる。)
具体的には、恐怖・不安刺激とリラックス状態を対呈示する。
系統的脱感作法の治療過程は大体の場合以下の流れを踏む。
【具体的な方法】
① まず、リラックス状態を作り出すため、シュルツによって開発された自律訓練法などを用いて弛緩法を身に着け、自力でリラックス状態を作れるようにする。
② 不安階層表(不安を感じる場面を段階的に並べたもの)を作成する。
③ 不安階層表における不安の強度が低い刺激からイメージした後、弛緩法を実践して、不安とリラックス状態を条件づけて不安の解消を図る。
④ これらの手順で、不安階層表の最も高いものまで、1段階ずつ実施していく。
上記が基本的な流れである。
なお、現実的脱感作法は実際の恐怖や不安対象に直接さらすのに対し、系統的脱感作法は、実物ではなく心的イメージを用いる。
治療対象となっている不安や恐怖を弱いものから強いものへと順に並び替えた表のことである。
不安症や恐怖症に悩むクライエントに対し、調査票を用いて不安や恐怖の対象を抽出し、それらを0~10点に数値化する。=主観的障害単位(SUD)
そのうえで、点数の低いものから高いものへ段階的に並べ、階層表を作成する。
(通常は10段階に並べる。)
現実的脱感作法には、不安や恐怖を強く感じる場面にいきなりさらすフラッディング法がある。
フラッディング法を適応する際の条件として、①クライエントの治療へのモチベーションが高いこと、②セラピストとクライエントとの間に信頼関係が形成されていることがあげられる。
系統的脱感作法の手順や流れ、背景にある理論について解説してきました。
要点を整理して理解しておくことをおすすめします。
また、この機会に行動療法の全体的な理論についても抑えておくことをおすすめします。