「臨床心理学」における主要な治療法のひとつであるエクスポージャー法(exposure)について解説します。
※暴露法とも呼ぶ
古典的条件づけの原理に基づいた行動療法のひとつで、恐怖や不安事態に直接さらして慣れさせるというもの。
馴化の原理に基づいている。
治療メカニズムは、消去学習や馴れに基づいている。
エクスポージャー法の目的は、恐怖や不安に直接さらすことでそれらの事態に慣れさせることであるため、恐怖や不安と別の刺激を対呈示させることによる逆制止を明確に誘導するわけではない。
この点で、現実的脱感作法とは異なる。すなわち、エクスポージャーは馴れ、脱感作法は逆制止であり基となる理論が異なるのである。
エクスポージャーは回避行動を減らすことを重視している。
不安を感じる場面の強度を段階的に並べた不安階層表などを用いて、恐怖や不安事態の弱いものから強いものへと段階的にさらす場合もあれば、当該の恐怖や不安事態にいきなりさらすフラッティング法を用いる場合もある。
フラッティング法を適用する際は、①クライエントの治療へのモチベーションが高いことや、②セラピストとクライエントとの間に信頼関係が形成されていることを確認して、安全の確保に十分に留意することが重要である。
(いきなり強い刺激にさらすことは、必ずしも十分な治療効果をもたらすわけでなく、クライエントを強い恐怖状態に置くことが倫理的にも問題であることなどから、現在ではあまり積極的には用いられていない。)
ある刺激場面によって引き起こされる恐怖や不安を低減しようとする回避反応を、他律的に妨害し止めさせる古典的条件づけに基づく行動療法を暴露反応妨害法という。(暴露法とは違う。)
これは一定期間、回避反応を止め続けると、恐怖や不安が徐々に減るという考え方に基づいている。
例えば、強迫症に対して用いる場合、強迫観念を引き起こす刺激にさらされた時にそれによる強迫行為を禁じることで、強迫観念から生じる不安に徐々になれ強迫行為を行わなくなるといった流れである。
エクスポージャー法は、不安障害やPTSDなどをはじめとした疾患に対して効果が高いと報告されている有名な行動療法です。
理論の細かい点を理解することで間違えやすい脱感作法との違いも明確になります。
エクスポージャー法は、馴化や消去学習を根拠となる理論としています。