「発達心理学」で取り上げられる仲間関係構造を示した重要な概念であるギャンググループ・チャムグループ・ピアグループ(gang-group/chum-group/peer-group)について解説いたします。
ギャング・グループ(gang-group)とは?
児童期後期(小学校中学年から高学年)に、遊びを中心にして8人程度の集団からなり、極めて閉鎖性が高いグループのこと。
なお、この時期はギャング・エージと呼ばれる。
グループ内で、役割分担や成員だけに通じるルールが存在することが特徴で、「われわれ意識」が形成される。
親や教師から離れて自立的に行動することによって、青年期において親友を形成する基盤となり、将来の社会生活に必要な知識や技能、態度が形成されていくといわれている。
チャム・グループ(chum-group)とは?
精神分析的対人関係論学派のサリヴァンが重要性を唱えた仲間関係に関する概念。
前思春期(中学生)に見られる仲間集団のことであり、特に女子にみられる。
サリヴァンは、この段階の友人関係を重視し、その関係性のことをチャムシップと呼んだ。
→この関係により、児童期までの人格形成上の歪みを修正させていく。(思春期における友達付き合いの性質はそれまでのものからより親密になる。)
ギャング・グループからチャム・グループにかけてに様々な影響を受け自己を発達させていく。
このような時期に、自分の行った行為が、他者や社会に少なからず影響を与えたという自己効力感を持つことは、アイデンティティの形成に重要である。(それ以降はピア・グループに移行する。)
(人に備わっている、潜在能力と環境に働きかけて、自らが有能であろうとする動機付けのことをコンピテンスといい、このチャム・グループの形成・維持に寄与していると考えられている。)
ピア・グループ(peer-group)とは?
青年期以降の友人関係のこと。
この集団は、異質性を認めることが特徴なゆえに、男女混同であることも、年齢に幅があることもありうる。
互いに価値観や理想・将来の生き方などを語り合う関係が生じてくる。
→共通点・類似性だけではなく、互いの異質性をぶつけ合うことによって、他者との違いを明らかにしつつ、自分の中のものを築き上げ確信していく。
幼児~児童期の子供の価値観は、親のそれを反映していることが多く、思春期になると、親の価値観と仲間の価値観との間で、絶えず揺さぶられる。
最終的に青年期には、読字の価値観を獲得していく。
ポイント
仲間集団の発達は、ギャングからピアへと上記のように移行していきます。
児童期の頃には、遊べる他者と仲間集団を形成し、やがて成熟した人間関係を構築していきます。
それぞれの段階で、重要な発達のテーマとぶつかることで、個人としてあるいは集団として成熟していくのです。