「精神分析学」における重要な概念のひとつである自己感(sense of self)について解説いたします。
自己感(sense of self)とは?
スターンにより提唱された。
マーラーの自閉期や共生期といった概念に疑問を呈し、生まれて間もない乳児も自己を持っていて、外界に能動的に関わり合っているとする理論のことである。
自己感の発達:4段階
スターンは乳児と母親との相互関係の観察から、乳児の主観的世界を自己感の発達として4つにまとめた。
以下にその詳細を示す。
■ 第1段階:新生自己感(生後~2カ月頃)
→知覚器官を通じて様々な外界の情報を取り入れ、組織化していく段階のこと。
■ 第2段階:中核自己感(2~6カ月頃)
→自分も他者も身体的に別個の存在であることが理解される段階のこと。
■ 第3段階:主観的自己感(7~9カ月頃)
→自分も他者もそれぞれ心を持つ存在であることが理解される段階のこと。
■ 第4段階:言語的自己感(15カ月以降)
→言語の発達によって象徴を用いたり、他者との伝達・共有が可能になる一方、言語化によって本当に体験したこととの間にずれが生じる。
おまけ:情動調律
スターンは、子供の情動に対して母親などの養育者が情動を合わせ、対応する行動をする情動調律も重要視した。
これは、自己感と大きく関連するファクターであるとされている。
ポイント
自己感の発達の理解としてお役立てていただけると幸いです。
独特な理論で覚えづらい箇所もあるかと思いますが、他者との関わりや言語など乳児の世界観を詳細に表した重要な概念ですので、ぜひ参考にしてみてください。
関連する用語を以下にピックアップしておきますのであわせてドランいただけると幸いです。