「発達心理学」における重要な用語のひとつである環境閾値説(Environmental Threshold Theory)について解説いたします。
環境閾値説(Environmental Threshold Theory)とは?
ジェンセンが提唱した理論。
環境の影響を受けて遺伝的な素質が発現するのだが、その発言のしやすさが特性ごとに異なることを示したもの。
内容
ジェンセンは「遺伝か環境か?」という論争の中で、遺伝的な特性が発現するためには、必要とされる環境要因の質と量がそれぞれの特性によって異なると考えた。
つまり、身長や体重、知能、学力など、ある遺伝的な資質が発現するためには、一定以上の環境条件が必要であり、どの程度の環境が必要になるかはその資質による、という考え方。
例えば、ジェンセンは、環境が発達に適している程度について、不適当(遺伝要因)から最適(環境要因)の順番を以下のように示した。
不適当から順に、①身長や体重、②知能、③学力、④絶対音感
すなわち、身長や体重はよい遺伝要因に影響を受けやすく、絶対音感はより環境要因に影響を受けやすいという意味である。
ポイント
環境閾値説は、遺伝か環境か論争の中で、有力な示唆を与えた考え方のひとつです。
遺伝的な要因の発言のしやすさは素質により大きく異なるという考え方をぜひ理解してみてください。