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心理学用語

心理学用語:ゲシュタルト療法

ゲシュタルト療法

「臨床心理学」における主要な治療技法であるゲシュタルト療法(gestalt therapy)について解説します。

ゲシュタルト療法(gestalt therapy)とは?

人間性心理学派に属するパールズ,F.S.によって開発された。

排除されていた自己の部分を統合し、全体性の回復を重視する心理療法で、過去の体験や生育歴ではなく、「今、ここ」で体験している自己の統合を目指す心理療法である。

クライエントは、過去の経験が完結されておらず心残りとなっている未完結の問題を抱えているため、感情と身体がバラバラになって全体性を欠き、不適応に陥っている。

その問題に対して、「今、ここ」で再体験させることによって、感情と身体の再統合を図り、全体性の回復を目指す。

ゲシュタルト療法の内容

パールズは個人の欲求と体験との関係を図と地というゲシュタルト心理学の用語を用いて説明した。

そして、不適応や心理的問題が生じるのは、図と地の関係性がひとつのパターンに固まり、柔軟な反転や入れ替えが出来なくなるためであると考えた。

セラピストは、クライエントの「今、ここ」における自明な現象を取り上げてクライエントが気づきを持つ機会を提供する。(気づきに始まり気づきにおわる。)

→そして「今、ここ」での怒りなどの不快な感情や感覚に気付き、排除されていた欲求が統合されることで、個人のゲシュタルトが完成され、不適応や心理的問題を解決する。

【図と地】

:衝動、欲求、感情、行動(1つの部分)

:図の背景にある内的状態の全体性、対人的相互行為の全体性(背景)

代表的な技法

ゲシュタルト療法のだいひょうてきな技法をあげ、代表的なエンプティ・チェアの内容を以下に示す。

エンプティ・チェア

ファンタジートリップ

ドリームワーク

ボディワーク

 エンプティ・チェア

ゲシュタルト療法で用いられる主な技法のひとつで、クライエントに2つの椅子(ホット・シートとエンプティ・チェア)の間を行き来してもらい、何か伝えたい相手との架空の対話を両者の立場から行わせる。(椅子技法ともいう。)

目的は、自己の全体性や相互行為場面の全体性の気づきを促すことである。

【具体的な方法】

・ホット・シートにクライエントを座らせ、エンプティ・チェアに問題となっている状況を構成している他者や自己の内的構成要素や夢の内容物が座っていることをイメージする。

・生起した問題状況に即して、自分の役割行動や表現、態度を実演し、もう片方の椅子にイメージした相手の役割行動や表現、態度を実演する。

これを交互に繰り返すことで、クライエント自身が気づいていなかった自己の内面や行動の持つ意味の全体性の理解、あるいは、相手の内面の理解や行動の意味の理解を図れるようになる。

ポイント

ここでは、ゲシュタルト療法全体についての総説とエンプティ・チェアの解説をしました。

人間性心理学派の心理療法として有名な技法ですので覚えておくことをおすすめします。

ゲシュタルト心理学の理論も絡んできていますので、以下にリンクを貼っておきます。あわせてご覧ください。

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