「精神医学」や「臨床心理学」における主要な考え方のひとつであるエビデンスに基づく医療(evidence-based medicine;EBM)について解説いたします。
エビデンスに基づく医療(evidence-based medicine;EBM)とは?
治療効果、副作用、予後の臨床結果に基づき、医療を行うというもので、専門誌や学会で公表された論文を広く検索し、客観的な疫学的観察や統計学による治療結果の比較に根拠を求めながら、クライエントと共に方針を決めることを心がける。
このような、証拠に基づく医学モデルを指した概念のことをいう。
エビデンスの階層
エビデンスの階層とは、エビデンスの強さを判定する指標のことである。
【エビデンスの階層表】
1a:ランダム化比較試験のメタ分析(システマティックレビュー)
1b:少なくとも1つのランダム化比較試験
2a:ランダム化を伴わない、同時コントロールを伴うコホート研究
2b:ランダム化を伴わない、過去のコントロールを伴うコホート研究
3:症例対象研究(ケースコントロール)
4:処置前後の比較など、対象群を伴わない研究
5:症例報告
6:専門家・臨床家個人の意見
※エビデンスレベルは、「システマティックレビュー,メタ分析」→「ランダム化比較」→「非ランダム化比較」→「準実験的研究」→「非実験的・記述的研究」→「臨床家や専門家個人の意見」の順で強い。
ポイント
臨床心理学では、近年エビデンスベースドアプローチという言葉が多用されており、根拠や証拠を重要視する流れがあります。
そのような流れをくみ取ると、エビデンスに基づく医療を行うための研究が目指されます。
ぜひエビデンスの階層表やエビデンスレベル考え方を抑えておいてください。