「臨床心理学」における重要な用語のひとつであるインフォームド・コンセント(informed consent)について解説いたします。
インフォームド・コンセント(informed consent)とは?
治療契約を結ぶ際、援助者が一方的に提示し、クライエントに承諾させるのではなく、十分な説明を尽くし双方で意見を交換し、同意を得る必要がある。
そのための説明に基づく同意のことを指す。
インフォームド・コンセントは、セラピストとクライエント関係の開始時での、口頭や書面での説明への同意で終わるのではなく、関係の最初から最後までのプロセス全体の中で継続的に行われるものである。
3つの要素
インフォームド・コンセントには以下の3つの要素がある。
・接近権
→どのような治療を受けるかをクライエントが知る権利のこと。
・自己決定権
→必要な情報を得たうえで、治療を受けるかどうかをクライエントが決める権利のこと。
・還元義務
→援助者が適切な情報をクライエントに伝える義務のこと。
インフォームド・コンセントはこれら3つの要素から成り立つ。
注意点
インフォームド・コンセントにおいて説明する側が注意するべき点として、以下の点があげられる。
① クライエントが理解できる簡単な言葉で伝え、質問の場を保障すること。
② 少なくとも2つ以上の選択肢が提示されていること。
③ 一度同意をし、途中で同意を撤回する場合においても不利益を被らないようにすること。
上記の点に配慮した説明が重要である。
インフォームド・コンセントの役割と意義
インフォームド・コンセントにおいて、クライエントに伝えられる情報は、治療面接のメリットやデメリット、効果や限界、見立てや予後、援助者の立場や技能などの治療構造のことが主である。
※しっかりとしたインフォームド・コンセントを行うことが、援助者の倫理・義務につながるだけでなく、クライエントの間にラポールを築くことにつながる。
(類似語のアカウンタビリティは、クライエントに対する説明責任のことを指す。)
ポイント
インフォームド・コンセントは、心理臨床の倫理面において非常に重要なものです。
こちらの記事を皆様の理解に役立てていただけたら幸いです。