「精神分析学」における学派のひとつである新フロイト派(neo-freudian)について解説いたします。
新フロイト派(neo-freudian)とは?
精神分析における学派のひとつである。
フロイト,S.の性的リビドー重視を批判し、不適応や精神病理が生じる原因として、対人関係や家族制度のような社会的・文化的影響力を重視した精神分析の学派のことである。
※フロイト左派とも呼ばれている。
新フロイト派は、個人心理学を提唱したアドラーや、文化人類学のミードから影響を受けている。
代表的な新フロイト派の学者と理論
・対人関係論のサリヴァン,H.S.
→治療において、治療者が患者との関わりの中で、患者を観察する「関与しながらの観察」を主張している。また、精神疾患の原因を幼少期の対人関係に問題があると指摘し、統合失調症の初期における妄想的な言動は「パラタクシックな歪み」の産物であると考えた。そして、患者を対人交流から遮断することが治療に役立つと論じている。
・フロム,E.
→社会的性格としての構成主義的人格を研究するなど、個人を扱う正統派の精神分析を社会情勢全般に適用した人物。有名な著書に、ファシズムを心理学的に分析した「自由からの逃走」がある。(ファシズムとは、国や社会全体の利益を最優先させる政治的思想のことである。)
また、対人関係における距離の取り方から神経症的な性格を「自己主張型」「追従型」「遊離型」の3つに分類したホーナイ,K.がいる。ホーナイは、神経症の原因として、基本的不安(基底不安)を提唱している。
ポイント
フロイトを痛烈に批判した、これらの思想を理解しておくことは、精神分析学の深い理解につながります。
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