「心理学研究法/心理学測定法/統計」における重要な分析法であるパス解析と共分散構造分析(path analysis/covariance structure analysis)について解説いたします。
パス解析(path analysis)とは?
まず最初に、従属変数に対する各独立変数ごとの説明力の程度を明らかにするために重回帰分析を行う。
更に、独立変数間においても因果関係が仮定できる場合には、その変数間で回帰分析を各々行う。
最後に、上記の統計的に推論されたすべての変数間の因果関係の流れをベクトル(パス)で図式的に示す。
パス解析は、多変量解析のひとつで、従属変数と独立変数の双方が、間隔尺度以上の変数の場合に用いるパラメトリック検定である。
【パス解析の目的】
パス解析は、多数の変数間の複雑な因果関係を統計的に推論したモデルとして、図式的に示すことを目的とした検定である。(潜在変数を扱えないというのがひとつの特徴である。)
共分散構造分析(covariance structure analysis)とは?
複数の観測データ間の関係についてパス図と呼ばれるモデルを作成し、そのパス図に含まれる観測変数と潜在変数の矢印図形で表される統計モデル。
共分散構造分析では、モデルの関係の当てはまりが良いのか悪いのかを調べる。
※構造方程式モデル(structual equation modeling)ともいう。
複数の変数同士の関係が、因果関係、相関関係など絡み合っていると考えられる場合、単純に相関分析や回帰分析を行うだけでは、全体的な視野を得ることが出来ない。
→共分散構造分析は、因子分析、相関係数、回帰分析などの関係を、図形や矢印を使った1つのモデルとして表す。
従って、様々な分析を総合した1つの巨大で総合的な分析といえる。
※有意差があるかどうかによって平均値の差や比率の差、説明関係などがあるかを推測する他の検定や分析とは異なり、共分散構造分析では、任意に作成されたモデルが観測変数を投入した結果として、良いモデルといえるのかどうかについて適合度を測定する分析である。
ポイント
両者とも心理学研究でしばしば用いられる統計手法です。
実際の研究論文などをみると勉強になります。
複数の変数をモデルとして同時に見れるものとして、非常に便利な手法ですのでぜひ抑えておいてください。
また、両者ともに基礎的な統計の知識をベースにしないと理解が難しいと思います。
以下に、心理学研究の基本用語を解説したページのリンクを貼っておきますので、ぜひチェックしてみてください。