「臨床心理学」における主要な治療技法である箱庭療法(sand play therapy)について解説します。
箱庭療法(sand play therapy)とは?
ユングの分析心理学派に属するカルフによって確立された技法。(クライン派のローエンフェルトの世界技法に由来している。)
57cm×72cm×7cmの木箱に砂を入れ、砂の無い部分で、川や海、空を表現したり、ヒトや動物、木や建物などのミニチュアを配置するなど、クライエントが自由に箱庭を創っていく芸術療法の一種である。箱庭の底は青くなっている。
「母と子の一体性」
非言語的なセラピーであるため、内的な感情や葛藤を言語化することが困難な対象に有効であり、大人にも用いられている。
※日本には河合隼雄が紹介した。
箱の意味
箱の枠の意味は大きく2つある。
・自由にして保護された空間
→箱の中は自由で安全な場所である。このように保護された空間でクライエントの自己治癒力が働き始め、作品から気づきが得られたりする。時として、攻撃性が表出されることもある。
・表現を強いる
→箱の中でクライエントに内的な世界の表現をある意味共生する側面もある。
箱庭療法の意義
箱庭療法の意義は、箱庭を作ることによって、自己のイメージや内的な感情・葛藤を表現することが出来て、カタルシス効果による自己治癒力の発揮が期待できるという点にある。
場合によってはアセスメントの側面もあるが、一般的には、箱庭を作ること自体に心理療法としての意味があるとされている。
※注意点
箱庭療法は、自我の侵襲性が高く、精神病レベルのクライエントは内的な世界が大きく揺さぶられるため、基本的には適用してはならない。
ポイント
箱庭療法は深層心理への気づきとカタルシスという意味合いが込められた芸術療法としての心理療法です。
内容や意義を理解しておくことをおすすめします。
ユング心理学についての知識も少なからず関連してくると思うので関連記事のリンクを下に貼っておきます。ぜひチェックしてみてください。