「発達心理学」における主要な概念のひとつである社会的参照(social referencing)について解説いたします。
問題解決場面や行動選択場面において、自分ひとりの力だけでは意思決定や行動決定がしにくい場合に、周囲の表情や態度、反応を手掛かりにして、情緒的な安定を導き、意思決定や行動決定を行う能力のこと。
※他者への問い合わせともいう。
この能力は1歳前後からみられる。
視覚的断崖の実験
ギブソンらが開発した、子供の奥行き知覚を調べるために開発した装置を用いた実験。
この装置には、透き通ったガラスの一枚板がはられており、そのガラス半分は市松模様の床と接しているため、床があると感じられる。一方、残りの半分はガラスの1m下に市松模様の床があるため、床がないと感じられる。
→生後6カ月の乳児は床の無いところで止まった=奥行きを知覚している。
社会的参照に関連する研究として、視覚的断崖を用いるものがある。
視覚的断崖の装置の向こうに母親がいて、1歳の子供に対して手招きをする。子供は母親に向かう。
→母親が笑顔や嬉しそうな表情をしていると、子供はいったんは躊躇はするが、母親の表情を見ることで安心して向かっていった。
しかし
母親が悲しそうな表情や起こったような表情をしていると、視覚的断崖の前で止まったまま動こうとしなかった。
ポイント
発達心理学における重要な研究ですので、ぜひ抑えておいてください。
ギブソンの視覚的断崖の実験と、社会的参照の関わりを覚えておくおこもおすすめします。