「臨床心理学」の心理アセスメントにおいて主要な検査である状態-特性不安尺度(State Trait Anxiety Inventory)の解説をします。
(当サイトでは、以降よりSTAIと呼びます。)
STAIとは?
スピルバーガーによって開発された尺度。
「今、この瞬間に感じている不安」である状態不安と、「普段から感じている不安、性格傾向としての不安」である特性不安を測定するための質問紙検査である。
従来の不安検査は特性不安を測定する者しか存在しなかった。しかし、STAIは特性不安だけでなく状態不安も測定するという目的で開発された。
客観的な状態や不安の程度を把握することが可能であり臨床場面で多く用いられている。不安症のクライエントの治療にあたって、診断や治療効果の指標として多用される。(不安症のクライエントは、特性不安が高い場合がほとんどであるという報告がある。)
※適用年齢は中学生以上、所要時間は約10分である。
STAIの内容と解釈
内容
「今、現在の気持ち」について20項目、「普段の気持ち」について20項目、合計40項目で構成されている。
・状態不安:主に現在置かれている状態や状況に対しての気持ちに関連した質問。
・特性不安:緊張や心配などの気持ちの割合や重症度を測定する質問。
特性不安の評価は「しょっちゅう」「しばしば」「ときたま」「ほとんどない」、状態不安の評価は「全くちがう」「いくらか」「まあそうだ」「その通りだ」の各4段階の中で地震に当てはまるものに〇をつける仕様である。
具体的には、1~20までは、今の自分の気持ちににあて当てはめるものに、21~40までは、普段の気持ちに当てはまるものに〇をつける。
解釈
75パーセンタイル以上が、臨床的に問題のある高不安だとされている。
【統計分析からの分類】
・男性:「状態不安」=42点以上、「特性不安」=44点以上が高不安の目安。
・女性:「状態不安」=42点以上、「特性不安」=45点以上が高不安の目安。
その他
ほとんどの不安検査は不安傾向を想定するものであった。
STAIの大きな特徴は、刻刻変化する不安状態と、不安になりやすいといった性格傾向を分けて測定できることである。
ポイント
STAIは不安を測定する心理検査としてMASに並んで多用されている尺度である。
大きな特徴、つまり「状態不安」と「特性不安」に分けて測定できるという点を抑えておくことがとても重要です。
大まかな概要や解釈についてもつかんでおくことをおすすめします。
また、不安症に対する知識もこれを期にあわせて抑えておいてください。