「臨床心理学」の心理アセスメント分野における、質問紙法のパーソナリティ検査である矢田部-ギルフォード性格検査(Yatabe-Guilford personality inventory)について解説します。
(当サイトでは以降より、Y-G性格検査と呼ぶ。)
Y-G性格検査とは?
特性論の研究者であるギルフォードらが作成したものをモデルに、矢田部達郎らが日本滋養に標準化した質問紙法のパーソナリティを測定する心理検査。
日本で最も多く用いられている心理検査であるといわれている。
※Y-G性格検査の基盤となる理論は性格特性論だが、結果の解釈における判定は性格類型論を背景に成り立っている。
Y-G性格検査の内容
・尺度の内容
→Y-G性格検査は、12の特性尺度ごとに10個の質問項目(合計120)で構成されている。以下に12の性格特性を示す。
抑うつ (D) | 陰気や罪悪感の強い性格のこと。 |
回帰性傾向 (C) | 著しい気分の変化、驚きやすい性格のこと。 |
劣等感 (I) | 自信が欠乏していた李、不適応感が強いこと。 |
神経質 (N) | 心配性、神経質のこと。 |
客観的でない (O) | 空想的でひどく主観的なこと。 |
協調的でない (Co) | 不満が多く、人を信用しない性質のこと。 |
愛想の悪い (Ag) | 攻撃性のこと。社会的不適応になりやすい場合がある。 |
活動性 (G) | 活発な性質のこと。 |
のんきさ (R) | 気軽さや衝動的な性質のこと。 |
思考的外向 (T) | 熟慮的でない性質のこと。 |
支配性 (A) | リーダーシップのある性質のこと。 |
社会的外向 (S) | 対人関係において外向的であり、社会的接触を好む性質のこと。 |
回答方法と分類法
回答方法は、「はい」「いいえ」「どちらでもない」の3件法である。
Y-G性格検査は測定結果から、A~E型の5つに分類される。
【5つの分類法】
・A型:平均型
・B型:不安定積極型
・C型:安定消極型
・D型:安定積極型
・E型:不安定消極型
※「どちらでもない」の回答が多すぎると、A型(平均型)に分類されやすくなるため出来るだけ選択しないように教示する。
利点と欠点
利点
・結果は得点化され、プロフィールという形でグラフ化されるので、パーソナリティを視覚的・構造的に把握できる。
・質問が分かりやすく、短時間で実施可能である。
・採点や評価が客観的で比較的容易、かつ多面的な理解が可能である。
(臨床場面以外でも、職業適性や一般的なパーソナリティ検査としても用いられることが多い。)
欠点
・12個の特性尺度や6つの因子に妥当性の疑問がある。
・MMPIのように虚偽尺度がないため、信頼性に疑問が生じる。
・「どちらでもない」に多く回答すると、A型に入ってしまい本人の特徴が出にくい。
まとめ
Y-G性格検査は、日本で最も多く用いられてるといわれているとても有名な心理検査です。
基本的な内容や分類方法を理解しておくことをおすすめします。
特に、5つの分類の名称を覚えておくことは重要だと思います。